2014年8月22日の第60回月例発表会において,川上 智史(B4),西野 剛史(B4),鬼木 明日香(B4),出村 友秀(B4),青木 啓祐(B4),石正 幸大(B4),梅野 哲平(B4),長田 剛典(B4),森田 準基(B4)の9名が以下のタイトルで発表を行いました.

走行経路情報を利用した効率的車々間データ通信(川上 智史)

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近年,自動車の安全性や運転者の快適性向上を目的としたアプリケーションが登場している.アプリケーションにおいて必要なデータは,アプリケーションの多様化により更に膨大になる.しかし,車両1 台で収集可能な情報は限られているため,車々間通信を用いて他車両が取得した情報を共有することで,各アプリケーションに利用出来る.また,近年になって車が利用できる周波数帯域が割り当てられた.しかし,海外が広帯域なのに対して,日本は狭帯域が割り当てられた.よって,日本では効率良く伝送する必要がある.一方,ヨーロッパを中心にLDM[1](Local Dynamic Map)と呼ばれる地図データを階層化する取り組みが行われている.LDM では地図上の情報を特性ごとに階層化しており,階層ごとにデータの緊急性が異なる.緊急性の高い上位層のデータは遅延が許されないため,上位層のデータを効率的に伝送しなければならない.受信したデータを再送する際,情報を発する車両(情報源車両)との位置関係によっては再送する必要の無いデータがある.そのため,情報源車両と中継車両の位置情報を利用することで,無駄の少ない伝送が可能である.本稿では,情報源車両と中継車両の位置情報を利用して,伝送するデータに優先度を付与し,その優先度に応じて再送制御を行うことで効率良くデータを伝送する手法を提案する.

NoSQLを利用した複数視点による移動物体位置管理システムの提案(西野 剛史)

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近年,顔検出機能付きカメラの普及や,防犯カメラによる顔認識・人物追跡,交通カメラによる車両・交通監視といった監視セキュリティの導入によって,物体追跡がより身近なものとなった.また,多くの映像が防犯カメラ等よりビッグデータとして蓄えられており,これらの映像から一意の人物の特定を人的手段によって行うことは,もはや不可能で,物体追跡によるコンピュータでの解析・認識に頼らざる負えない.また,複数視点による人間の行動の取得は,監視やセキュリティのアプリケーションにおいて必要不可欠でもある[1].しかし,現実空間における複雑な環境において,これらの認識・追跡は精度を落としてしまう.物体追跡の課題として,追跡対象の形状変化や,見え方の変化によるものがある.見え方の変化として,追跡対象が,ある物体の背後に隠れ,カメラから見えなくなり,追跡が困難となってしまうオクルージョンや回転運動や照明変化,背景変化などが挙げられる[2].そこで,本稿では,これらの問題の中でも,オクルージョン問題を解決するための複数カメラによる物体追跡システムの提案を行う.

利用者の歩行動作と位置情報を用いた自動個人認証(鬼木 明日香)

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我々は, インターネットでの登録サイト閲覧, 自宅や社内の入室,ATM でのお金の引き出しなど,様々な場面で個人認証を行っている. これらには,複数の複雑な文字列パスワードの暗記と入力作業, あるいはカードや鍵を取り出して挿入する作業が必要なため,不便に感じることも多い. さらにセキュリティに関する課題が大きく, 単純なパスワードの使い回しや, 端末やカードの盗難による情報漏えいは頻繁に起こっている.近年, 指紋や顔などの身体的特徴を使用した認証も登場したが, 機械導入のコストが高いなどの問題がある上,模造品を作成が可能であることが報告さている. 本研究では既存認証システム問題点を解消し, ユーザの動作負担が少ない上に不正アクセス不可能なシステムの実現を目指す.

OpenFlowを利用した動的グループ化による動画配信ネットワークの負荷軽減(出村 友秀)

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近年,インターネット上でUstream やニコニコ生放送のような音声や動画等の映像コンテンツをリアルタイムで伝送する「動画配信サービス」が普及している.その背景には,インターネットへのアクセス回線のブロードバンド化が急速に発展し,従来のアナログ回線と比べて1 度に送ることのできる情報量が数十から数千倍にも増えたため,映像コンテンツのような大容量データもスムーズに送ることができるようになったことが挙げられる.しかし,それに伴う問題として多数のユーザーが同時に動画配信サービスを利用することで,配信サーバやネットワーク全体への負荷が増大することが考えられる.そこで,この問題を解決する手法として,従来の自律分散型のネットワークからOpenFlow を用いた集中管理型のネットワークを考慮した,マルチキャストによる動画配信における帯域の有効利用を目指した経路制御をし,視聴端末の動的グループ化を行うことでネットワーク全体としての負荷を軽減するシステムを提案する.

電波受信強度による位置情報を用いた高齢者支援システムの提案(青木 啓祐)

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近年, 日本ではますます少子高齢化が進んできたが, 高齢者の死因としては病気などのほかに不慮の事故によるものが数万人にのぼる. 意外にもその割合としては, 交通事故よりも転落や窒息などといった家庭内の事故の方が多くあげられている.既存のシステムに単身高齢者の事故を早期に発見し, 家族にメールで知らせるシステムがある. しかし, 既存のシステムでは事故後の支援しかされておらず事故の件数を減少させることには繋がっていない.そこで,本研究では実際に事故が起こり得る場面に高齢者が遭遇した際に, どのように対処すれば良いか情報を提示することで事故が起こるのを未然に防ぐためのシステムを提案する.

ウェアラブルデバイスに適したAR表示システム(石正 幸大)

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2000 年代後半からスマートフォン・タブレット端末が急速に普及してきた.それらは,GPS・ジャイロセンサーなどのセンサーによって,様々なソーシャルネットサービスの提供を可能とした.このような環境の中でスマートフォンと親和性の高いAR 技術も普及してきた.一方近年,Google のGoogleglass やEpson のMoverioBT-200 などのメガネ型のウェアラブルデバイスが登場し,一般ユーザでもウェアラブルデバイスを手に取れるようになった.そして今後,ウェアラブルデバイスにもAR 技術が用いられることが予想される.しかし,これらのウェアラブルデバイスは体に装着するというような,スマートフォン・タブレットとは異なった性質を持つ.本研究では,ウェアラブルデバイスに適したAR 表示方法について,一般に普及しているスマートフォンに用いられるAR 表示方法と比較して考察する.

複数LEDマーカを用いた機器認識システムの提案(梅野 哲平)

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近年,スマートフォンやタブレット端末の普及と共に,手に持たずに直接身に着けられるウェアラブルなデバイスが注目を浴びることが多くなっている.中でもGoogleのGoogleglass に代表されるメガネ型デバイスは,新時代のスマートデバイスとして近い将来普及することが期待されている.また,それに伴ってメガネ型という特性を生かしたアプリケーション開発に拡張現実感(AugmentedReality,以降,AR) 技術がインターフェースとして用いられることも予想される.メガネ型デバイスでAR 技術をインターフェースとして実装する場合,対象機器との双方向のデバイスインタラクションを確立することで機器の操作や状況理解ができる.そのためには機器の位置認識精度の向上が求められる.しかし,AR 技術利用時は機器の位置の特定の際に紙に印刷した特殊なイメージマーカを用いることが多く,実際に機器に張り付ける場合暗闇で認識率の低下してしまう他,見栄えが悪くなってしまう,動的変更が不可であるという問題が発生する.本研究ではこの問題を解決するためにLED マーカを用いる手法を検討する.LED の点滅パターンによって機器のMAC アドレスを表現し,それをカメラデバイスで撮影しパターン認識することで機器の位置を特定,機器とのインタラクションを実現する.また,一般的なカメラのフレームレートが30fps であることから,LED の点滅で伝達できる速度が10bps 以下になることが予想され,48ビットのMAC アドレスを送信するためには数秒かかり,その間カメラを動かしてしまうと認識できなくなってしまう.その問題に関して,LED マーカを複数用意し伝達速度を速めることで解決を図る.

HMDを用いた仮想空間への手書き文字共有システム(長田 剛典)

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近年,拡張現実(AR:Augmented Reality)の研究が進められ,研究者だけではなく世間にも認知されつつある.ARはカメラやセンサを備えたスマートフォンのようなモバイル端末と親和性が高く,様々なアプリケーションが提供されている.視覚的に情報を追加するという特徴から,広告やユーザ間の情報共有といった用途が挙げられる.しかし,ユーザが自由に3 次元空間へと情報を追加することはまだ研究段階である.また,現在ではGoogleGlass を始めとしたウェアラブル端末の研究が進められている.中でもメガネ型の端末は,身に着けるだけで視界そのものとして仮想空間を見ることが出来,直観的な操作が可能となるため,AR との親和性が高い.そこで,本稿では新たにヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)を用いた仮想空間への手書き文字共有システムを提案する.

OpenFlowコントローラにおける負荷分散システムの提案(森田 準基)

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近年,Youtube などが人気を博し動画などのストリーミングデータの通信が増えている.テレビ会議なども企業において普及しストリーミングデータの高品質な通信が求められている.また,企業への導入が進んでいるクラウドが企業だけでなく一般ユーザに身近なものになっている.これらの状況に加え,4G モバイルも普及し,IP トラフィックは増え続け,トランザクションの増大も増えると予想できる.将来のインターネット技術として研究されているOpenFlow においても,IP トラフィックが増え続けるとフローも増え,フローを制御するOpenFlow コントローラに負担を与えうるという問題がある.一方,クラウドなど現在の技術に加え新しい技術やデータ形式が登場した際,既知のフローだけでなく未知のフローの登場も考えられる.その際,OpenFlow コントローラが逐一スイッチに指示することでもコントローラの負荷は増えてしまうという問題もある.本研究では,OpenFlow環境下においてコントローラの処理をスイッチに持たせることで負荷分散するネットワークシステムを提案する.