2015年4月11日の第66回月例発表会(M1)において,川上 智史(M1),石正 幸大(M1),陳 洵(M1),西野 剛史(M1),長田 剛典(M1),鬼木 明日香(M1),出村 友秀(M1)の7名が以下のタイトルで発表を行いました.

車両走行情報を利用した効率的車々間データ通信(川上 智史)

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近年,知的交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の研究が活発化している.その一つとして,自動車の安全性や運転者の快適性向上を目的としたアプリケーションが登場している.アプリケーションにおいて必要なデータは,アプリケーションの多様化,高性能化により更に膨大になる.しかし,センサデータ等,車両1台で収集可能な情報は限られているため,車々間通信を用いて他車両が取得した情報を共有することで,各アプリケーションに利用できる.車々間通信を行う際に,見通しの悪い交差点等では,周囲の建造物によって直接通信が出来ない状況がある.そのため,情報を発する車両(情報源車両)と目的の車両の周辺に存在している車両を中継して,通信を行うことが必要となる.しかし,周辺の全ての車両が中継を行うとトラフィック量の増加に繋がるため,中継する車両を選択し通信を削減する必要がある.本研究は,伝送するデータを削減することで,広範囲に車両走行情報(位置情報,速度)を配信することを目的とする.

ドライバの視線と車両状態に基づく運転行動推定(石正 幸大)

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近年,安全運転支援システムの研究・開発が行われている.既存の安全運転支援システムは,車両の異常事態に対して安全措置を行うシステムである.しかし自動車事故の原因の多くは,ドライバの安全不確認や注意不足によるものであり,これらの問題に対して,根本的な解決とはならない.したがって,今後はドライバのミスなど事故の発生の根本的原因に対応し,事故の発生を予測するような安全システムが必要とされる1).本研究では,車両状態とドライバの視線の動きから,直後のドライバの運転行動を推定する手法を提案する.ドライバの運転行動は,認知・判断・操作の3つの手順の繰り返しによって構成される.この認知段階では,ドライバは主に視覚から運転に必要な周囲の環境情報を得る.したがって,ドライバの視線の動きは,運転行動を推定する上で有効な特徴であると考える.そこで,本研究ではドライビングシミュレータと視線検出装置を用いて運転時のドライバの視線データと車両データを取得し,そのデータをSVM(SupportVectorMachine)によって学習し,ドライバの運転行動の推定を行い,その推定精度の評価を行う.

ボトルネック型四元数ニューラルネットワークの画像圧縮への応用(陳 洵)

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近年, 複素数に基づくニューラルネットワーク(NN) に関して, その基礎理論から工学応用にわたる幅広い分野において様々な研究が行われている.さらに, 複素数よりも高次元の数体系である四元数をNN に導入することによって, 3次元空間における情報処理において, 従来のNN に比較してより効率的な処理の実現が期待されている1).本研究では四元数を導入したNN の情報処理能力に着目し,画像の圧縮と復元に対する四元数NN の能力とその特徴について検討する.

NoSQLを利用した複数視点による移動物体位置管理システムの提案(西野 剛史)

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近年,多くの公共空間に防犯カメラが設置され,防犯以外にマーケティングとしても利用され,生産性のあるデバイスとして認知されつつある.しかし,防犯システムの管理者ごとに,カメラ仕様や取得データの保存形式が異なっており,管理者の境界ごとに追跡対象を見失ってしまう.犯罪捜査やマーケティングの観点からしても,追跡対象がどの方向から来て,どの方向へ去ったのかという情報は重要である.また防犯カメラシステムは,単一カメラのみでの運用が多いが,一方向視点からのみの視野領域となるため,多くのオクルージョンが発生してしまう.また,単一カメラでは奥行がわからないので,スクリーン座標での物体追跡となり,GPS のような,ワールド座標での位置情報を取得できない.本研究では,複数カメラから得られた位置情報を統合・一元管理させ,追跡範囲の拡大による一貫した物体追跡や,オクルージョンを解決することを目的とする.

スマートグラスを用いた仮想空間への手書き情報共有システム(長田 剛典)

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近年,AR(AugmentedReality)の研究が進められている.視覚的に情報を追加するという特徴から,広告やユーザ間の情報共有といった用途が挙げられる.全てのユーザで共有出来る仮想空間によって,見知らぬ人とのコミュニケーション支援となり得る.しかし,ユーザが自由に3次元空間へ情報を追加することは研究段階である.また現在,ウェアラブルデバイスの研究が進められている.中でも透過型スマートグラスは,身に着けるだけで視界に仮想空間を重ねることが出来る.モバイルデバイスでは,ARオブジェクトを表示するために,表示したい場所に向けて,モバイルデバイスをかざさす必要があり,手が塞がるため操作の自由度が低下する.スマートグラスではその問題点を解決し,直感的な操作が可能となる.そこで本研究では,スマートグラスを用いた仮想空間への手書き情報共有システムを提案し,実装と評価を行う.ジェスチャの認識によって物体の追跡を行い,軌跡を描くことで手書き情報を実現し,またシステムを実装,評価した.

歩行動作と近接情報を利用した自動個人認証(鬼木 明日香)

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我々の生活において,個人認証技術は身近で欠かせないものとなっている.個人認証とは本人しか持ち得ない情報によって本人であることを証明する作業であり,所有物認証,知識認証,生体認証の三種類に分類できる.近年不正に認証を突破する手口が高度となってきているため,これらの二種類または三種類を併用する多要素認証の導入が増加している.多要素認証にはセキュリティが大幅に向上するという利点があるが,認証の併用数に比例してユーザの操作負担や認証時間が増大するため,日常で頻繁に使用されるシステムへの導入は問題となる.このような現状を踏まえ,本研究では認証におけるユーザの操作負担と処理時間の削減を目的とする.そのために認証を要求する物(認証対象)へユーザが向かう際の歩行動作を有効活用した認証手法を検討する.

OpenFlowを利用した帯域利用率に基づく動画トラフィック経路制御(出村 友秀)

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近年,インターネット上でYouTube,ニコニコ動画,Huluのような音声や動画などの映像コンテンツを提供する動画配信サービスが普及してきている.それに伴う問題として,配信サーバへの負荷やネットワーク帯域の圧迫などにより,ユーザーが動画視聴を行う際に画面や音声が途切れるなど動画トラフィック転送における安定性の低下という問題,従来方式には特定プロトコルに対してのみ効率的に経路制御を行うという方法がないため,今後転送量が増加する動画トラフィックに対してユーザーが必要とする帯域を安定して確保できないという問題が挙げられる.本研究では,帯域中のトラフィックを種別し動画トラフィックに対して優先的に帯域を与えること,帯域の有効利用を行うことを提案する.その上で経路制御を行わない既存ネットワークによる通信と比較し評価を行う.