2016年1月28,29日の2015年度修士論文試問会において,市田 智也(M2),木村 真乃介(M2),多田 正範(M2),楠瀬 適(M2),三村 洸揮(M2),佐々木 雅茂(M2)の6名が以下のタイトルで発表を行いました.

インターネット切断時を考慮したWeb情報共有システム(市田 智也)

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 近年のスマートフォンやタブレット端末といったモバイル端末の普及により,インターネットを利用したコミュニケーションツールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用が活発になっている.これらのサービスを利用することにより,家族や友人とのコミュニケーションだけではなく,インターネット上でのコミュニティを形成することで,不特定多数の人に対しての情報発信が容易になった.また,その目的もコミュニケーションだけではなく,PRやプロモーション,注意喚起と多種多様となっている.モバイル端末を利用したコミュニケーションは日常生活において他者とのコミュニケーション手段として有効である.しかし,地震などの災害により被害を受けた地域では,通信インフラの破壊や災害後の混乱により,インターネットを介した通信が制限,または不可能となる.サーバを介したコミュニケーションシステムでは,通信可能範囲内に端末が存在したとしても,サーバとの接続が確立されない限り通信することができず,コミュニケーション手段として利用することができない.本研究では,災害時でも使用可能なWeb情報共有システムを提案することを目的としている.前述の災害時に通信インフラが破壊された場合や,通信事業者によるサービスを受けられない場合でも通信継続可能なコミュニケーションシステムを提案する.新たにアプリケーションをインストールする必要のない,Webブラウザ上で動作するWebアプリケーションとして実装し,インターネットの接続状況に関わらず,災害時でも端末同士の効率的,かつ,リアルタイムなコミュニケーションシステムを実現する.

OpenFlowネットワークにおける低負荷QoS経路制御手法(木村 真乃介)

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 インターネットを利用したアプリケーションの普及により,ネットワーク上のトラフィック量は年々増加してきており,ネットワークにはアプリケーションに応じた通信品質保証が求められている.近年,Software-DefinedNetworking(以下,SDN)と呼ばれる考え方に注目が集まっており,SDNを代表する技術としてOpenFlowがある.OpenFlowはフロー単位での制御を行うことができる一方で,制御内容を細かく設定することでフローエントリは増加する.フローエントリの増加は,コントローラの処理負荷増加やフローテーブルの容量不足を引き起こすため,今後のトラフィック量増加やフローの通信品質保証において問題となる.そこで,本研究ではOpenFlowネットワークにおけるフローエントリ増加という問題点に対し,フローに対するラベリングを行うことで解決する.

VANETにおけるピギーバック方式を用いたジオキャスト配信手法の効率化(多田 正範)

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近年,道路交通における事故や渋滞,環境問題など様々な課題解決を目的とした高度道路交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の研究が活発化している.その中で,無線通信技術を利用して周辺環境状況の把握を行うVANET(VehicularAd-hocNETworks)の検討がなされている.VANETは無線通信機器を搭載した車両同士で車車間通信を行い,自律的にネットワークを構成することでデータの送受信を行う通信方式であり,他車両を経由することで電波の特性上通信が届かない車両に対してもデータの送受信が可能という特徴がある.これにより,見通しの悪い交差点における安全運転支援に対応することができる.また,VANETでは路側機といったインフラ設備を必要としないため,そのような設備のない道路上でも利用可能であり,注目が集まっている.VANETでは多くの配信手法が検討されているが,位置情報を利用することで同報配信を行うジオキャスト1)が注目されている.本研究では,ジオキャストにおいて同じ領域宛のデータを一つのパケットに統合し送信するピギーバック方式を用いることで,ネットワークトラフィックの削減と通信の安定性の向上を目指す.

車両周辺環境とドライバ状態を考慮した自動車運転モデルの検討(楠瀬 適)

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近年,安全運転支援システムが普及し,また,自動運転の研究が活発になっている.一方,これらのシステムはドライバ個人の運転特性は考慮せず,あらかじめ決められた運転支援特性で機能している.そのため,ドライバがこの運転支援特性を受け入れる形でシステムが成り立っている.これに対する新たなアプローチとして,機械学習やデータマイニングの技術を用いて,車載センサから取得されるデータから運転をモデル化し,自動運転を行う手法が研究されている.これらの手法は,車載センサから取得されるドライバの過去の運転操作データを用いて学習し,運転モデルを構築するため,従来のような決められた運転支援ではなく,ドライバ個人の運転特性を考慮した支援が可能となる.本研究では運転モデルの精度向上を目的とし,周辺環境の変化に伴うドライバの運転特性変化を考慮した自動車運転モデルについて検討する.

O2Oのためのすれ違い通信を用いた情報提供システム(三村 洸揮)

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近年,インターネットの普及と共に,オンライン通販サイトが登場してきた.そして,2010年頃からO2Oという言葉が使われるようになってきた.このO2Oとは,オンラインtoオフラインという意味で,オンラインでの情報接触行動から,消費者を実店舗へと誘導する手法のことである.このO2Oには,オンラインにおけるクーポンの配布やおすすめ商品のレコメンドなど様々な事例があげられる.店舗側から提供したい情報から,最適なデータを消費者へと推薦する必要がある1).また,近年では,スマートフォンやタブレット端末などが普及しており,気軽にインターネットにアクセスすることができる.これに伴い,O2Oの利用環境も広がっている.しかし,O2Oの情報提供は,消費者のオフラインでの行動を考慮していないことが多い.オフラインにおける場所や時間などを考慮した情報提供がなされておらず,リアルタイム性に欠ける.

コンテンツ共有を目的としたNFCによるアドホック通信確立フレームワークの提案(佐々木 雅茂)

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近年,スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスが普及し,セルラー通信やWi-Fiなどの無線ネットワークの需要が高まっている.また対面コミュニケーション支援アプリケーションが登場している.しかし,無線ネットワーク環境を利用出来ない場面において,スマートデバイスを利用したコンテンツのやり取りを行うことが出来ない問題がある.この問題を解決するアドホック通信を確立する方法は,接続手続きが煩雑で,ユーザの負担となっている問題がある.本研究では,無線ネットワーク環境が利用出来ない場面でも,継続した対面コミュニケーション支援を行うために必要なアドホック通信機能と,スマートデバイスに搭載されているNFC(NearFieldCommunication)を用いた,アドホック通信を簡単に確立するためのNFC接続機能を合わせたフレームワークを提案する.