2016年5月14日の第77回月例発表会(スタートアップ)において,長谷 錦(B4),葛谷 亮介(B4),岡田 春菜(B4),蚊戸 洸幸(B4),木下 浩希(B4),阪田 大輔(B4),東 峻太朗(B4),引屋敷 愛(B4),杉坂 竜亮(B4)の9名が以下のタイトルで発表を行いました.

OpenFlowを用いたホームネットワークの最適化(長谷 錦)

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近年,ネットワークに接続し情報を送受信できる家電が多く販売され,それに伴いホームネットワークの研究・開発が盛んに行われている.ネットワークに接続することで家電や通信機器同士で情報を交換,共有し,それによって複数の機能を組み合わせた質の高いサービスの提供を可能にしている.しかし,そのような機器やサービスの増加により,ホームネットワーク上で扱われるアプリケーションは多岐にわたり,様々な種類のトラフィックが発生する.さらに,ホームネットワークに接続されている機器を利用するユーザの行動次第で,トラフィックの時間的な変化も大きくなる.さらにホームネットワークでは,機器間の接続方式もそれぞれ異なっていることが多く,有線や無線が混在しており,通信品質の維持は難しいとされている.そこで,本研究ではOpenFlowによるネットワークを仮想化により一元的な管理を行うことで,ホームネットワークを最適化する手法を提案する.

路車間・車車間通信の利用による右左折時の事故防止と燃費の効率化手法(葛谷 亮介)

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路車間通信・車車間通信技術の研究により,安全性・快適性の更なる向上が実現されつつある一方で,環境負荷問題が深刻化している.実際,日本におけるハイブリッド車の普及率は2015年の時点で8%であり,電気自動車の普及率は0.2%未満という状況である1).ハイブリッド車,電気自動車が普及しない理由としては,高額で手が出せない,インフラ整備が不十分等があった2).ITSの本来の目的は社会問題の解決であり,環境問題に対しても考慮していかなければならない.しかし,環境問題の解決のためにハイブリッドカーを国民に普及させることは,価格やインフラ整備の現状を考えると困難であるため,安全・快適性を保ちつつ,環境を配慮した運転を必然的にドライバーへ促し,環境問題を解決する方法を考える必要がある.本研究では路車間通信・車車間通信を併用することで,安全性の向上,また,ドライバーへ環境の配慮を促しCO2の排出量を削減する手法を提案する.

フリック入力及び加速度センサー・ジャイロセンサーによる認証の強化(岡田 春菜)

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近年,メールやインターネットショッピングなどで個人の認証にパスワード認証が使われる機会が多くなっている.パスワードを他人に知られてしまうことや,パスワードの忘却,使いまわしなど,パスワード認証の問題点が多くある.そこで,指紋や静脈など,個人で固有のものとされるものや動作で認証を行う生体認証が注目されている.スマートフォンは我々にとっては欠かせない存在となっている.今回,スマートフォンを使い,文字入力時の個人の特徴から,新たな認証方法を提案する.多くの人が日本語入力の時にフリック入力1)を使うだろう.フリック入力の際,入力のスピードとどのくらい指を移動させるか,個人で違いがあるので,この特徴量を認証に使用ことができる.また,スマートフォンにはさまざまなセンサーが搭載されている.Androidであれば,一般的に加速度センサー・磁気センサー・ジャイロセンサー・圧力センサーなどである.そこで,文字を入力した時に関係するフリック入力の特徴量と加速度センサー・ジャイロセンサーの二つのセンサーで検知できる手の動きの特徴量により認証する.さらに認証されたことをパソコンに送信することにより,毎回パソコン側でのログインの手間を省くことができる.そうすることで,ユーザの負担の軽減を図る.

音楽がパーソナルスペースに及ぼす影響(蚊戸 洸幸)

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近年,パーソナルスペースという言葉をよく耳にする.パーソナルスペースとは他人に近づかれると不快に感じる空間のことである.例えば、電車に座るとき他人となるべく距離をとるように座るのは無意識にパーソナルスペースをとってしまっているのである.パーソナルスペースについての研究は1960年代からアメリカで盛んに行われるようになった.その背景として,社会が発展していくにつれ,限られた空間で複数の人間が作業するという状況が増えたからである.これまで,周囲の環境がパーソナルスペースに対しどのような影響を与え,またどうすれば快適に過ごすことができるかの研究がなされてきた.しかしこれまで音楽がパーソナルスペースに及ぼす影響についての研究はあまりなされておらず,音楽を用いたコミュニケーションツールなどの開発も進んでいない.そこで,本研究では音楽が個人のパーソナルスペースに及ぼすと仮定しその影響を調べ,その効果を応用して快適に過ごす方法を提案する.

歩車間通信を利用したステレオカメラによる歩行者認識精度の向上(木下 浩希)

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近年AI(Artificial Intelligence)やビックワードといった技術に注目が集まっており,人間の日常を支える交通分野でも多くのIT技術が利用されている.その中でも自動運転は今後ますますの発展が見込まれ,ロボタクシーや車のシェア化など既存の車のあり方を大きく変える可能性を持っている.自動運転における事故防止のアプローチの1つとして歩車間通信やセンサーによる歩行者認識がある.歩車間で通信を行うことでスマートフォンを持った人物と車が接近した際アラームを鳴らすといった研究がなされている1).各種センサーで歩行者の検知を行う研究もなされている.グーグルの研究者Anelia Angelovaはカメラを使いディープラーニングを利用したアルゴリズムを使用して,0.25秒以内に歩行者を検知した2).事故を防ぐには出来るだけ人との距離が遠い間に人を検出しなければならない.そして近くの人物ほど素早く検出する必要がある.特に死角から現れる人は現れるまでセンサーで検出することが出来ず危険である.前述のAnelia Angelovaはリアルタイム化に必要な目標値を0.07秒と決め,開発を続けている.本研究では歩車間通信を利用する事で,検知されていない人物や死角から飛び出した人物を正確に認識する手法を提案する.

スマートグラスを用いた聴障者向けコミュニケーション支援技術の提案(阪田 大輔)

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近年,障碍者に対するバリアフリーが進められている.よく目にするものであれば,階段やバスにおけるスロープ,トイレの手すりが挙げられる.しかし,このバリアフリーは肢体不自由障碍者や,視覚障碍者に対するものが目立ち,聴障者に対してのバリアフリーは日常ではあまり見うけられない.実際,政府の調べでは,バリアフリー化推進の調査において低い評価もある.しかし,この技術にはいくつか問題がある.まず,発言に対する反応に時間がかかるという点である.この場合,話し手の発言を音声認識し,内容を確認後送信し,表示された内容を読むという流れだが,それぞれが独立した段階的なものであり,実際の会話よりスムーズではなくなる.また,会話にディスプレイを介するため,顔とディスプレイを交互に見なければならず,作業的になものになり,表情やしぐさなどのノンバーバル情報が得られにくくなるという欠点もある.そこで,本提案システムでは,スマートグラスと拡張現実(AugmentedReality:AR),および音声認識技術を用いて,会話内容を認識すると同時に,スマートグラスの画面上に内容をARで表示し,視認することで,会話の応答速度の改善を図り,より対面コミュニケーションを可能とする.

エッジコンピューティングの車車間通信におけるセキュリティ強化(東 峻太朗)

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近年,自動運転や車車間通信の研究が盛んに行われている.車車間通信には,VANET(VehicularAdhocNetwork)が様々な方式で利用されるが,最近ではLTE(LongTermEvolution)回線を用いてVANETとの複合通信1)も考案されている.これは,LTE回線を利用しクラウドを経由する車車間通信である.クラウドで道路情報・車両情報を一括管理し,リアルタイムに制御を行うことで自動運転を管理しようという動きがある.さらに車両とクラウドの間に,多数のサーバ群を設置する,エッジコンピューティングによる通信高速化の研究まで行われている.通信の高速化により,今まで以上にクラウド経由の通信手法は注目される分野であり,それを前提に作られる車両が今後期待される.エッジクライドを介する通信方式は,今後のITS分野の発展に不可欠である.しかしそれに伴って,センサの誤認識や不正なデータがクラウドに送られてしまうと,クラウドを介した自動運転や車車間通信が成り立たない問題が生じる.故意な不正データの転送・クラッキング行為がここ最近で増加の一途をたどっており,車車間通信・自動運転においても今後セキュリティ問題が更なる課題である.総務省も車車間通信に対するセキュリティ強化を重要視しており,今後世の中の車車間通信・自動運転を実現可能にするには,セキュリティ対策が必要である.本研究はエッジを利用した車車間通信におけるセキュリティ問題を,「なりすまし」行為と定め,その対処を目指す.

ドローンを用いたRoboCarの安全走行支援の提案(引屋敷 愛)

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今日,車の自動運転化が実用に向かっている.2020年の東京オリンピックを目標に,各自動車メーカーは技術開発を重ね,政府は法整備に取り組んでいる.自動運転車はレーザーレーダー,ミリ波レーダー,GPS(GlobalPositoningSystem),カメラを装備しており,車間距離の確保,歩行者の認識,道の特定等を行っている.現在自動運転が実現可能になりつつある高速道路では,車の動きが単純で予測しやすく,さらに歩行者がいないため,比較的安全に走行することができる.しかしながら,公道にはレーダーやカメラでは情報が得ることが難しい,また,車には停止距離があり,赤外線等で前方の障害物を検知する方法では,突然出てきた際に車は止まりきることができない.例えば車速50km/hで走行しているときに必要な停止距離は約24mである.このため,あらかじめ突然出てくる可能性のあるモノを検知しておくべきである.今後の自動運転車の普及に向けてより安全な走行を実現するために,死角の情報を取得し,危険時に車に伝達する必要がある.そこで,本研究において前方飛行するドローンが危険を検知すると,車に停止指示を送るという安全走行支援システムを提案する.

スマホを利用したダイナミックマップに基づく安全運転支援&自動運転(杉坂 竜亮)

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近年,自動車の安全運転支援や自動運転に関する研究開発が盛んに行われている.自動車は刻々と変化する周囲の環境をリアルタイムに把握し,状況に応じて運転手に対し警告,または自ら問題に対処することが要求される.問題に対処する為に必要となる周囲の情報を管理する仕組みとしてダイナミックマップの利用が進められている.ダイナミックマップを用いることにより,今後,様々な運転支援が提案されると推察される.そこで本研究では,スマートフォン上にダイナミックマップを表示し,今後,需要が生まれると想定される様々な機能に対応することが可能なアプリケーションのプラットフォームを提案する.