2016年7月2日の第80回月例発表会において,森田 健太郎(M1),岩見 泰周(M1),野村 晃啓(M1),吉村 悠(M1),今野 裕太(M1),秋田 浩也(M1),青野 朝日(M1),石正 幸大(M2)の8名が以下のタイトルで発表を行いました.

指動作認識を利用したスマートグラス上のユーザインターフェイス操作(森田 健太郎)

morita_0702.jpg
近年,拡張現実(AugmentedReality:AR)の技術が世の中に広まってきている.ARを表示するデバイスの一つにスマートグラスが挙げられるが,スマートグラス上に表示させたAR情報を操作する手法に関しては,未だ確立されたものが無いのが現状である.そこで本研究では,赤外線を利用して指動作を認識することにより,スマートグラス上の情報を操作するシステムを提案する.

セントラルモード・ペリフェラルモードを併用したBLEによる位置精度向上手法(岩見 泰周)

iwami_0702.jpg
近年,駅構内や地下街,病院といった場所の構造が複雑化してきている.見知らぬ場所に初めて訪れた時,自分の現在地や目的地までの経路を把握することが困難になる.このような問題を解決する方法の1つとして位置推定手法がある.今日において位置推定手法は様々存在しているが,屋内といった環境で利用できる位置推定手法は限られており,また利用できても位置精度が悪いという問題点がある.本研究では,屋内でも利用することができ,屋内で利用可能な既存の位置推定手法よりも位置精度を向上する位置推定手法を提案する.屋内での位置推定を実現するために位置情報の発信源となる機器を設置しておき,この機器が発信する情報を用いて位置推定を行う.既存の位置推定手法よりも位置精度を向上するために,近年普及しているスマートフォンやタブレットといったモバイル端末を位置推定を行うときの1つの情報源として利用する.提案した位置推定手法と既存の位置推定手法を同一環境で位置推定を行い,それぞれの位置精度を比較評価し,有効性を示した.

携帯電話網を併用した位置情報管理に基づく車車間通信手法の提案(野村 晃啓)

nomura_0702.jpg
知的交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)において,道路交通の安全性や効率性,快適性の向上を目指す研究が盛んに行われている.中でも車車間通信では,接続された車両のみで構成される自律分散型ネットワークであるVANET(VehicularAdhocNetwork)がインフラ設備を必要としないネットワーク形態として注目されている.VANETにおけるルーティングプロトコルの1つである位置情報利用型では,VANET全体への制御メッセージ等の配信が不要であり,VANETにおける有望なアプローチであると考えられる.しかしUnicast型伝送方式の場合,LocationServiceを利用することが前提となる.既存のLocationServiceではパケットをVANET全体にフラッディングする必要があるため,帯域逼迫といった問題が発生する.このため,VANETに適応したLocationServiceが求められている.本研究では,VANET内の全車両の位置情報を一元管理したサーバをインターネット上に配置し,携帯電話網を用いて各車両がサーバへ問い合わせることで,終点車両までの経路情報を取得できるLocationServiceを提案する.これにより既存手法におけるオーバヘッドを削減し,シミュレータ評価により提案手法において送信パケット数の削減とパケット到達率の向上を確認した.

OpenFlowを用いたTCPトラフィック動的経路分散ネットワークの提案(吉村 悠)

yoshimura_0702.jpg
インターネット上のトラフィック量は年々増加しており,中でもインターネットビデオのTCPトラフィックはその大きな要因となっている.また既存のルーティングプロトコルは最適経路上のリンクやノードにトラフィックが集中する欠点があり輻輳の要因となる.そこでTCPトラフィックを最適経路だけでなく複数の経路に分散させることが輻輳の抑制に有効であるが,適切な経路分散を行うにはネットワークの帯域状態から動的に経路設定をする必要があり,既存のIP通信網では複雑な実装となり困難である.そこで本研究ではOpenFlowを用いてネットワークのトラフィック状態に合わせて動的な経路分散を行う.OpenFlowは近年,注目を集めているSDN(Software-DenedNetworking)と呼ばれるネットワークをソフトウェアで制御する仕組みの代表的な技術である.OpenFlowによってネットワーク状態を監視し,新たに発生したTCPフローに対し経路を動的に設定する.また短時間にトラフィックが急増するバーストトラフィック発生時にも適切に経路分散を行えるよう設計を行う.結果として提案手法を既存手法とを比較し提案手法はスループットが向上,再送率が低下し輻輳の抑制に効果があることを示した.

パケット認証を用いたDoS攻撃への対応手法の実装と評価(今野 裕太)

konno_0702.jpg
今日の我々の生活においてインターネットを利用したサービスの利用は欠かせないものとなっている.近年正規のユーザのサービス利用を妨害するDoS(DenyofService)攻撃が増加しており,今後も増加傾向は続くと予想される.一般にDoS攻撃には発信元を偽装できる,また,単純な攻撃規模からDoS攻撃であるという推定が困難という特徴があるために,発信元情報などを用いた既存対策では効果がない場合がある.本稿では事前認証した正規ユーザのパケットに認証値という値を付加し,ルータで認証値を基にパケット認証を行う.そして,正規ユーザの通信の優先転送処理を行うことにより,IPアドレスの偽装に対応した上でDoS攻撃に起因する問題として正規ユーザに対してのサービス利用妨害,DoSパケットによる無駄な帯域幅リソース占有問題回避の実現を目的とする.既存対策のように攻撃自体の防御を行うのではなく,あくまで正規ユーザのパケットを優先転送することでDoS攻撃の特徴であった,対象パケットが攻撃に用いられたパケットか否かの判別が困難,といった問題自体の回避が可能となった.評価においてはDoS攻撃環境を作成し,パケットの平均応答時間,応答率,DoSパケットの帯域占有度を計測した.計測結果を基に既存対策との比較評価を行うことで,提案手法の優位性を示した.

ホームネットワークにおけるデバイス間連携に基づく新サービス構築手法の検討(秋田 浩也)

akita_0702.jpg
近年ネットワークに接続できる家電が発売されている.これらの家電はネットワークに接続することで,お互いの情報を共有し,互いに制御しあうといったことが可能となっている.現在,日本ではECHONETLiteやDLNA(DigitalLivingNetworkAlliance)と言った規格が混在しており,単体での利用しかできないのが現状である.また,近年はIoT(InternetofThings)の普及により.組み込みデバイスの発売も行われ始めている.ECHONETbLiteと言った規格や,組み込みのセンサーの情報を単一のインターフェイスで操作するためには,それぞれの差異を吸収するミドルウェアが必要となる.本稿では,規格の違うデバイス同士の連携を可能にするミドルウェアを提案する.デバイスの連携とは,デバイスが持つ機能の連携である.また,機能の抽象度にも注目した.異なる規格では,提供する機能の抽象度が異なるため,機能同士を連携させるためには,適切な処理が求められる.また,実環境での利用時のユースケースを上げ,実環境での優位性について考察した..最後に,関連する研究や技術との比較を行い,本提案システムの有効性を検証した.

VRを利用した学習支援システムの提案(青野 朝日)

aono_0702.jpg
近年,VR(VirtualReality)の研究が進められている.基本的に現実空間とは切り離され,コンピュータで作成した仮想3D空間にいるような体験が可能である.一方で,AR(AugmentedReality)は現実空間に視覚的な情報を付加することで広告やユーザ間の情報共有に用いられる.その際にメガネ型のウェアラブルデバイスである透過型スマートグラスが用いられ,現実に仮想情報を付加することができる.しかし,メガネのレンズ上にディスプレイを表示する形で現実空間に情報を付加するため,実際に使用してみると,仮想物体が現実空間に存在するように見えない.1)そこで本研究では,没入感のあるVR機器を使用する.仮想3D空間ではなく,ステレオカメラで現実空間を取り込み,学習の支援をするシステムを提案する.

単眼カメラを用いた屋内通路における飛行方向制御の提案と実装(石正 幸大)

ishimasa_0702.jpg
近年,PCやカメラの普及に伴う小型化,性能向上が急速に進行し,コンピュータによるパターン・画像認識技術が,様々な領域で実用化できる状況が整ってきた.一方,空中映像撮影として用いられるドローンの分野において,前述の技術を取り入れて自律飛行の研究が盛んに行われている.ドローンは遠隔操縦,または自律式のマルチコプターのことを指し,産業・軍事用途などの様々な分野において将来使用されることが予想されている.多種多様な形状のものが開発されているが,特にドローンの小型化・高性能化の研究開発が活発に進んでいる.しかし,ドローンの自律飛行を実用化するためには,限られた計算資源や積載量などの物理的な問題点を解決する必要があり,今後ドローンの小型化と自律飛行を両立させるためには,さらなる研究実験が求められる.本研究では,小型のドローンのような特に限られた積載量の制限下において,レーダなどのセンサを用いることなく自律飛行を可能とするために,単眼カメラから撮影された画像から,屋内通路における飛行方向制御を提案する.