2017年2月23日の2016年度卒業論文発表会において,蚊戸 洸幸(B4),木下 浩希(B4),引屋敷 愛(B4),杉坂 竜亮(B4),阪田 大輔(B4),岡田 春菜(B4),長谷 錦(B4),葛谷 亮介(B4),東 峻太朗(B4)の9名が以下のタイトルで発表を行いました.

歩きスマホにおけるアプリの操作が 障害物認識能力に及ぼす影響(蚊戸 洸幸)

sotsuron_kato.jpg
近年,携帯電話よりも大幅に性能が向上したスマートフォンという携帯端末が急速に普及した.スマートフォンの普及に伴い歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」が社会的な問題となっている.歩きスマホの防止策としてNTTドコモ,au,ソフトバンクの各キャリアは無償で歩きスマホ防止アプリを配布している.また,各キャリアは全国の鉄道事業者43社と共同で「やめましょう、歩きスマホ。」キャンペーンを行っている.しかし,歩きスマホによる事故件数は増加している.東京消防庁1)によると年別の救急搬送人員は平成23年から25年の間で年々増加している.Hymanら2)は,歩きスマホをすることで歩行速度の低下や進行方向を変更する回数が増加することを報告した.また,増田ら3)は,フィーチャーフォンに比べ,スマートフォンは歩行ルートからの逸脱回数が有意に多かったと報告している.このように,歩きスマホが歩行者に及ぼす影響は研究されてきた.しかし,操作するアプリによる影響についての研究はなされていない.本研究では,歩行時に障害物が発生してから認識するまでの距離(危険状況認識距離)には個人差があり,また,歩行中に行う作業によっても変化が生じると考えた.そこで,今回は歩きスマホにおいて操作するアプリごとの障害物認識能力の変化を調べ,その時の危険状況認識距離を考察する.

地理的位置と画像認識を併用した歩行者認識手法の提案(木下 浩希)

sotsuron_kinoshita.jpg
近年AI(ArtificialIntelligence)やビックデータといった技術に注目が集まっており,人間の日常を支える交通分野でも多くのIT技術が利用されている.その中でも自動運転は今後ますますの発展が見込まれ,事故の防止や渋滞緩和など既存の車のあり方を大きく変える可能性を持っている.運転には認知・判断・操作という3つの段階がある.認知では事故を起こさないために高速・高精度であることが求められる.現在自動運転では周囲環境の取得方法としてセンサーによる方法と通信による方法の2つが考えられている.本研究では歩行者の地理的位置情報を利用する事で,画像による歩行者の認識精度を向上させる手法を提案する.

HSVを用いたカスケード型分類器の顔検出高速化の考察(引屋敷 愛)

スマートフォン利用ダイナミックのアプリケーションプラットフォーン(杉坂 竜亮)

sotsuron_sugisaka.jpg
近年,自動車の安全運転支援に関する研究開発が盛んに行われている.自動車は刻々と変化する周囲の環境をリアルタイムに把握し,状況に応じて運転手に対し警告を発することが要求される.問題に対処する為に必要となる周囲の情報を取得する仕組みは様々あるが,現在主流となっているのはステレオカメラやレーザーレーダーを利用したものである.またそれらとは異なる手法の一つとして,データを特徴ごとに分類して管理する仕組みであるダイナミックマップの研究も進められている.このデータを組み合わせて扱うことにより,実世界の変化に対応した動的な地図情報を取得し,より高精度に周辺情報を認知することが可能となる.今後,ダイナミックマップを用いることにより,様々な運転支援が提案されると推察される.そこで本研究では,スマートフォン上にダイナミックマップを表示し,今後,需要が生まれると想定される様々にな機能に対応することが可能なアプリケーションプラットフォームを提案する.

スマートグラスにおけるARを用いた音声コミュニケーション支援手法の提案(阪田 大輔)

sotsuron_sakata.jpg
近年,音声認識の研究が行われている.その技術は,iOSにおけるSiriやAndroidにおけるGoogle音声検索など,日常生活で実用化されるほど発展した.また,音声認識はコミュニケーション支援にも用いられている.発言を音声認識しテキスト変換することで,聴覚障がい者や高齢者が視覚的に情報を入手できるようになる.既存の支援手法におけるテキスト表示は,パソコンやスマートフォン,タブレットなどの携帯端末の画面に表示するものであるが,使用場所や動作に制限が生じる.さらに,会話における音声認識は読みにくく時間がかかるという問題がある.本提案手法では,スマートグラスとジャイロセンサを用いて,テキストを拡張現実(AugmentedReality:AR)として扱うことで,既存手法で生じる制限の払拭を図り,聴覚障がい者や耳の不自由な高齢者が円滑に会話ができるバリアフリーなコミュニケーション支援手法を提案する.

フリック入力の個人特性を利用した認証強化手法の検討(岡田 春菜)

sotsuron_okada.jpg
近年,メールやインターネットショッピングなどで個人の認証にパスワード認証が使われる機会が多くなっている.パスワードを他人に知られてしまうことや,パスワードの忘却,使いまわしなど,パスワード認証の問題点が多くある.そこで,指紋や静脈など,個人で固有のものとされるものや動作で認証を行う生体認証が注目されている.スマートフォンは我々にとって欠かせない存在となっている.今回,スマートフォンで文字を入力する際の個人の特徴を用いた,新たな認証方法を提案する.多くの人が日本語入力の時にフリック入力1)を使うだろう.フリック入力の際,どのくらい指を移動させるか,どの程度スマートフォンが動くのか,個人で違いがあるので,この特徴量を認証に使用することができる.また,スマートフォンにはさまざまなセンサーが搭載されている.そこで,文字を入力した時に関係するフリック入力の特徴量と加速度センサー・ジャイロセンサーの二つのセンサーで検知できる手の動きの特徴量により認証する.

ネットワーク仮想化を用いたホームネットワーク管理手法の提案(長谷 錦)

sotsuron_hase.jpg
今日ではネットワークはその発展・普及とともに人々の生活において欠かせないものとなっている.最近では,ネットワークに接続し便利な機能を提供する生活家電などの普及が進んでおり,ホームネットワークというものの重要度が増している.この先も機器の増加やサービスの高品質化などによって,ホームネットワーク内で扱う情報量・種類の増加は避けられないものとなり,ネットワークは複雑化しホームネットワークの管理は難しくなる.さらにホームネットワーク内のデータ量・種類の増加により,通信品質の低下という問題が発生する.そこで本稿ではネットワーク仮想化技術の一つであるネットワークスライスを,SDN(Software-DefinedNetworking)の代表的な技術であるOpenFlow用いることで実現し,ホームネットワーク内の機器を機能ごとにスライスに振り分け,スライスごとの自動的なネットワーク制御を行うことでネットワーク知識の浅い人であってもホームネットワークの管理を容易にする手法を提案する.

クラウド連携を想定した車群形成によるデータ伝送効率化手法(葛谷 亮介)

sotsuron_kuzutani.jpg
近年,自動車の安全性や運転者の快適性の向上を目的とした知的交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の研究が盛んに行われており,周辺車両同士が走行データ(位置情報,速度情報)や環境情報(道路規制,渋滞情報)を無線通信によって共有する車車間通信や,周辺の道路と車両が通信する路車間通信といった通信方式が登場している.最近では,LTE(LongTermEvolution)によるクラウドと車両間における交通情報の集約と提供の研究が行われており1),カーナビゲーションシステムなどのITS車載器がLTEを用いて走行データや環境情報をクラウドへ送信し,クラウドが集約したデータから各車両に必要な情報を解析した上で逐次提供するというサービスも登場している.車両とクラウドがLTE通信によって連携することで全域的な情報の一元管理が可能となり,周辺車両との車車間通信を用いた局所的な情報共有による走行制御よりも,衝突事故の防止や渋滞緩和への対応が容易にできる.しかし,交差点や高速道路といった交通量が多くなる場所ではクラウドに送信されるデータ量が膨大になり,通信トラフィックの増加による通信遅延が生じる.通信遅延は車両同士あるいは車両と歩行者の衝突事故に繋がるため通信トラフィックを減少させる必要がある.本研究では,車車間通信を用いて複数の車両に対して車群形成を行い,車群ごとに走行データを一纏めにすることで,車両からクラウドに送信されるデータ量を削減し,データ伝送の効率化を図る通信手法を提案する.

基地局情報と周辺車両情報を用いた 車両なりすまし行為に対するセキュリティ手法の提案(東 峻太朗)

sotsuron_azuma.jpg
近年,自動運転や車車間通信の研究が盛んに行われている.車車間通信には,VANET(VehicularAdhocNetwork)が様々な方式で利用されるが,最近では携帯回線を用いたVANETとの複合通信1)が考案されている.これは,車両とクラウドの通信を,車車間通信と併用する研究であり,クラウド上で道路情報・車両情報を一括管理することができる.しかしクラウドを利用したシステムでは,不正なデータ転送がシステムに大きな影響を与えてしまう2).クラウドに対する故意な不正データの転送・クラッキング行為がここ最近で増加の一途をたどっている3)ことから,クラウドを利用した安全運転支援サービスに対する攻撃も脅威である.攻撃者が,道路上で事故車両を装ったなりすまし情報をクラウドに送信することで,道路を封鎖,あるいは渋滞を引き起こすことができる.クラウドが受信するデータに対し,このような車両情報の偽装は,安全運転支援を実現する上で解決すべき問題である.本論文タイトルにある「車両なりすまし行為」とは,車両がクラウドに対し不正なデータを送信する行為と定義する.車両なりすまし行為として,走行情報の偽装や位置情報の偽装,車両状態の偽装など様々な偽装行為がある.本論文では,車両なりすまし行為を車両の位置情報偽装行為として扱い,問題解決に臨む.