2017年5月13日の第87回月例発表会において,岩月 海人(B4),日吉 生海(B4),小林大志(B4),西村閣晋(B4),西牧佑哉(B4),井上綺泉(B4),中谷 要太(B4),徳弘誠志郎(B4),木村健太(B4),英 翔子(B4),横田雅樹(B4)の11名が以下のタイトルで発表を行いました.

移動体の位置と移動方向を考慮した複数回線の切替方式(岩月 海人)

iwatuki_20170513.jpg
高機能端末の増加によりアプリケーションが必要としているデータ量も増加している.それによりLTE回線の利用がさらに増大していくことが予想され,人が集中するような場所や時間帯によっては回線が著しく混雑することが予想される.回線の混雑を回避するために各キャリアはLTEなどの携帯回線のトラヒックをWi-Fiなどへオフロードするという対策をとっている.携帯回線の周波数リソースが限られているということもあり,今後Wi-Fiなどの異なる周波数帯を用いる無線システムをセルラ方式に活用する動きが活発化していくと考えられる.そのような無線LANやセルラ方式のマイクロセルなどのカバーエリアが比較的狭い無線システムが混在している環境において,移動体が通信を行う際には回線の切り替え(ハンドオーバ)が多く発生する.ハンドオーバ時に適切な回線を選択することは通信品質低下の防止において重要な役割を持つ.適切な回線については様々な視点から考えることができるが,既存の研究では回線の混雑具合をNAV(NetworkAllocationVector)を指標に判断し,電波強度により回線の安定性を考慮している[1].それらの指標のみで接続する回線を選択すると,接続先のアクセスポイント(AP)が移動方向と反対の場所に設置されていた場合に将来的に電波強度が低下していくという問題がある.その問題を解決するためには移動体特有のパラメータを考慮する必要がある.本研究方式においては移動体の位置と移動方向の情報を考慮し,移動方向に対して最適な回線の選択を行う.そして選択した回線の帯域を一時的に予約する.これにより従来よりもロスの少ない回線の切り替えを目指す.

疲労感の可視化による公共交通機関における座席譲り合いの円滑化(日吉 生海)

hiyoshi_20170513.jpg
現在,日本を走る公共交通機関には,必ずと言っていよいほど優先座席が設けられている.理由としては,ご高齢者や妊娠されている方,身体に不自由のある方にも安全に使用してほしいためである.また、乗客のモラル向上のために、優先座席の廃止を試みた鉄道会社も存在するが,このことにより,さらに譲ってもらえなくなったという声を聞き,元に戻したという報告もある[1].さらに,マタニティマークも同様に、妊娠されている方が急な体調不良等の際,周囲に理解を求め,公共交通機関を安全に利用できるよう配布が始まった.[2]しかし,このような対策がなされているのにも関わらず,我々は,公共交通機関における座席の譲り合いの際に、複数の問題を抱えている.そこで,本論文ではその問題を解決する手法を提案する.

Ethereumを用いたデジタルコンテンツの二次流通取引プラットフォームの検討(小林大志)

kobayashi_20170513.jpg
近年、「ビットコイン」に代表される仮想通貨が世界中で話題となっている.当初は仮想通貨の通貨としての側面に対して多くの関心が寄せられていたものの,ここ1~2年においては,仮想通貨を支える技術基盤である「ブロックチェーン/分散型台帳技術」について,仮想通貨以外の領域に応用しようとする動きが様々な産業分野において活発になり,脚光を浴びている.現在ブロックチェーンの応用先の1つとして,金融業界で資産取引への利用が有望視され研究が進んでいるが,今まで資産として扱えてなかったものを,デジタルアセットとして扱う研究は進んでいない.そこで本研究ではゲームのアイテムやクーポンなどのデジタルコンテンツ想定し,これらをデジタルアセットとして保有し,取引できるような,資産の流通プラットフォームを提案する.

無線可視化プラットフォームを利用した通信切断の原因表示機能の実装(西村閣晋)

nishimura_20170513.jpg
近年IoT(InternetofThings)という技術が注目されている中で,無線ネットワークの把握や管理は重要なものとなってくる.このようなIoTの技術を取り入れた商品が一般家庭内に浸透すると同時に,ユーザは自ずと無線環境下のネットワークについて考えさせられる場面が想定される.しかし,一般のユーザにとってはネットワークや無線の仕組みや,技術,通信プロトコルの違いは理解し難いものであることが現状である.こういった中,ネットワークや無線に対する知識が乏しいユーザにも簡単に無線環境が理解,管理できるように無線ネットワークの可視化を,AR(AugmentedReality)技術を用いて直感的に把握できる手法の提案がされている.同志社大学の坂本は,通信規格の違いを意識せずにユーザが無線通信を可視化できるようなプラットフォームとアプリの作成[1]をしている.しかし,この手法では予期せぬ無線通信の切断状況を考慮していない.想定される無線可視化の必要な場面としては,AP(AccessPoint)を経由したWi-Fiなどの無線接続状況が途絶えたりした際の,各端末の無線接続状況の確認やARによる切断の問題点の発見などが考えられる.よって本論文では端末間がAP経由のWi-Fi接続環境下において,通信が途絶えた際に一時的な端末間同士のダイレクト通信を確立して,無線状況の確認,およびARを用いた問題点の表示を行えるような追加機能の提案を行う.

GPS信号及び車両からの電波の重み付けによる歩行者の位置推定精度の向上(西牧佑哉)

nishimak_20170513.jpg
近年のスマートフォンやタブレット端末の普及率の増加に伴い,ナビゲーションやAugmentedReality(AR)を用いた空間への情報付与など,位置情報を利用したサービスを利用する機会が増加した.現在,それらの位置情報を利用したサービスの多くがGPSを利用して位置情報を取得している.GPSは,複数のGPS衛星から送信された時刻情報付きの信号を受信し,発信時刻と受信時刻との差から衛星からの擬似距離を求めることによって位置を推定するが,ビル等の高い建物が周囲に多く存在する場合,GPS信号が建物によって遮蔽されたり,反射したりするなどの影響により測位誤差が数十mにもなったり,GPSが使用不可となったりする問題がある.特に,歩行者のナビゲーション時に位置情報に誤差があると,歩行者は自分の正確な位置を把握することができず,道に迷う原因となってしまうため位置を正確に測位することが重要である.また近年,自動運転や車車間通信の研究が盛んに行われており,自動運転や車車間通信において車両は周囲にそれぞれの車両情報を送信している.そこで,本研究は車車間通信が将来的に完全に実用化することを想定して,GPS信号と車両からの電波を併用することによって位置推定精度を向上させる手法を提案する.

ARにおける複数視点からの同一物体検出の手法(井上綺泉)

inoue_20170513.jpg
近年,現実空間に仮想空間の情報を重畳させて表示するAR(AugmentedReality)が,スマートフォンを使用した位置情報の共有サービスに利用されつつある.特に,ARマーカーを利用した研究が多くなされており,その中の一つに,屋内ナビゲーションがある.看板にマップや様々なお店の情報を表示したり,屋内だけでなく屋外にも応用できるような視覚ARが発展している.しかし,現実空間にARマーカーを配置する必要性がある.ARマーカーが光に当たる場所にあると認識できない場合があるので,光の当たり具合も配慮しなければならない.また配置するときには景観を崩さないように注意することも重要である.例えば,展望台にいるときや道を案内するとき.案内したい建物に目印をつけることが出来れば非常に説明がしやすくなる.しかし,案内する人の視点と案内される人の視点は違うため,建物の方角に指をさして説明されても,どの建物のことなのかわからないことがある.そこで,それぞれの視点から共有したい建物に矢印などをAR情報で表示することができれば,勘違いが生じないため,相互のコミュニケーションが円滑に運ばれるようになる.そこで本研究では,三角測量の原理を応用させてARマーカーを使用せずに,屋外でも屋内でも位置情報を共有できる手法を提案する.本提案手法では,カメラを二台用意し,基準とするカメラで共有する物体を撮影する.そして,基準のカメラがどの物体を撮影しているかを,もう一台のカメラから得られたカメラ画像にAR情報を重畳することで共有の実現を図る.

画像認識による小型無人機の操縦におけるダイナミックポリシーの検討(中谷 要太)

nakatani_20170513.jpg
近年,無人航空機(以下,ドローンと記す)の研究が盛んに行われている.ドローンはインフラ点検,災害調査などの産業用途や農業用途への活躍が期待されている.米Amazon.comではドローンによる配送サービス「AmazonPrimeAir」を発表している.顧客が注文した商品を30分以内にドローンに配達させるサービスである[1].今後,ドローンは多岐にわたる活躍をすることが予想される.しかし,墜落・衝突事故や空撮映像のプライバシーの問題など様々な問題を抱えている.ドローンの墜落・衝突事故は4つの大きな原因が考えられる.突風によるバランスの欠如,バッテリー切れ,電波障害による制御不全,そして操縦ミスや判断ミスによる障害物との接触があげられる.その中でも一番多い事故の原因と言われているのが,操縦者の判断ミスや操縦ミスである.現在普及しているドローンの大半は,操縦をサポートする機能は搭載されておらず,操縦者の技術に依存している.このような背景から,本研究は操縦者の判断ミス,操縦ミスによる事故の軽減を目指し,ドローンに付属のカメラからの画像認識により得た情報をもとに,ドローン操作の自由度に制限をかけることで操縦を支援するシステムを構築する.

加速度センサを用いた読唇認識技術(徳弘誠志郎)

tokuhiro_20170513.jpg
コミュニケーション技術として,音声認識を使ったソフトやハードが既に多数存在するが,雑音の多い場所や電気機器のノイズの影響が出る場所では認識率が下がる.また市販の音声認識ソフトを使用する際には,雑音のない静かな場所や,高性能なマイクを使って補う必要がある.音声認識技術は周囲に気を使うあまり,外でのスマートフォンによる音声認識があまり利用されているところをみないのが現状である.似たような技術として読唇技術がある.読唇技術とは口の動きを認識するもので,音声認識とは違い声を使うことなく口を動かせるひとなら簡単に使用することが可能である.口は顔の中で一番動きを複雑に出来,自身が持つ領域で行うことができる.従来の研究ではカメラで口周りを抽出し,その口の動き幅などで認識していた.[1]本研究では,無音声認識コミュニケーション技術である読唇技術について研究を行う.センサを使用して発話された内容を認識出来れば,音声に依存しない処理が可能となり,カメラを使用せず認識する事が可能である.

協調型自動運転における安全と効率に関する評価検討(木村健太)

kimura_20170513.jpg
近年,自動運転に関する研究が盛んに行われており,搭載されたセンサで得た情報を基に自立走行する車両や,V2X(Vehicle-to-everything)通信を用いた協調型システムを実装した車両がある.センサを搭載することでセンサに反応する範囲での周辺情報を得ることができる.しかし,センサに反応しない死角や距離のある場所の情報を得るためには他のシステムが手に入れた情報を入手する必要がある.この情報を手に入れるために,車車間通信や路車間通信などのV2X通信の研究は盛んに行われている.例えば,車車間通信を用いて,前方車両の走行情報を得ることで協調の取れた隊列走行ができる車両や,路車間通信を用いて,道路構造データや位置情報の精度を高めるための道路側の補助を得ることで複雑な道路を走行できる車両の研究がされている.実際に,自車両のセンサ情報だけで自動運転するのではなく,車車間通信や路車間通信を併用した場合,300m周辺の認識率が上がることは示されている[1].このことから,今後車両にとって通信は不可欠な要素となり,様々な対象との通信をすると推測される.しかし現状では,各車両が通信によって得る情報一つ一つが交通の効率や安全にどの程度影響を与えるのか詳しく解明されていない.今後V2X通信を可能とした車両を開発するにあたり,どの程度の通信手段を車両が有する必要があるのかを正確に把握する必要がある.本研究では,センサ搭載車両や,車車間通信可能な車両,車車間通信・路車間通信可能な車両など,車両が通信できる対象を段階的に増やし,各段階別の車両における交通の安全性や効率を定量的に評価する.

渋滞緩和を目的とした動的可変信号の提案(英 翔子)

hanabusa_20170513.jpg
近年,自動車の保有台数は増加しており,私たちの生活に欠かせないものとなっている.自動車の普及によって暮らしが豊かになっている一方で,交通事故や渋滞などの社会問題も多く発生している.また,渋滞は大気汚染の原因ともなっており,早急に解決すべき社会問題の1つである.渋滞が発生する主な原因として,交差点における信号機の非効率さが挙げられる.具体的には,車両が存在しないのに青信号の時間が長いと,直行する道路に待ち車両が多く存在する.また,直進車両が多く右折できない車両によって,後ろの車両が進めず渋滞が発生する.このように,信号機の制御方式は渋滞に大きく関係している.本研究では,信号機の制御方式が原因となっている渋滞を緩和するシステムを提案する.

優先送信制御と中継車両選択制御を両立した効率的な車車間通信方式の提案と評価(横田雅樹)

yokota_20170513.jpg
近年,交通インフラを支える仕組みとして,安全性向上や利便性向上などを目的とした知的交通システム(ITS)の開発が進められている.ITSの技術の一つに車両間で通信を行う車車間通信があり,特にVANET(VehicularAdhocNetwork)と呼ばれる通信ネットワークが注目されている.VANETにおいて,様々なアプリケーションによる情報配信の充実により,安全性や快適性の向上が見込まれる一方で,必要なデータ量の増加などの原因により,通信の遅延やトラフィックの増加が見込まれる.本研究では,優先度制御と中継車両の選択を用い,交通の安全性を高めつつトラフィックを削減するマルチホップを用いた車車間通信手法を提案する.シミュレーションによる実証により,通信遅延やエラーレートの低減,通信トラフィックの削減などの観点から有効性を示す.