2017年6月28~30日のDICOMO2017シンポジウムにおいて,長谷 錦(M1),東 峻太朗(M1),阪田 大輔(M1),杉坂 竜亮(M1),青野 朝日(M2)の5名が以下のタイトルで発表を行いました.
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ネットワーク仮想化を用いたホームネットワーク管理手法の提案(長谷 錦)

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今日ではネットワークはその発展・普及とともに人々の生活において欠かせないものとなっている.最近では,ネットワークに接続し便利な機能を提供する生活家電などの普及が進んでおり,ホームネットワークというものの重要度が増している.今後もホームネットワークに接続することでの利用を前提とした機器の増加や,それぞれのサービスの高品質化などによるホームネットワーク内で扱う情報量・種類の増加は避けられないものとなる.ホームネットワーク内の機器の増加によりネットワークは複雑化し,ホームネットワークの管理は難しくなる.さらにホームネットワーク内のデータ量・種類の増加により,通信品質の低下という問題が発生する.本稿ではネットワーク仮想化技術の一つであるネットワークスライスを,SDN(Software-DefinedNetworking)の代表的な技術であるOpenFlow用いることで実現し,ホームネットワーク内の機器を機能ごとにスライスに振り分け,スライスごとの自動的なネットワーク制御を行うことでネットワーク知識の浅い人であってもホームネットワークの管理を容易にする手法を提案する.提案手法を用いることで,ネットワークスライスを用いた自動的なネットワーク制御が可能であることを証明し,ホームネットワーク内に発生する上述した問題が解決できることを示した.

車両位置相互監視によるV2X通信なりすまし検知手法(東 峻太朗)

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V2V通信の発展により,衝突防止支援や追従走行支援といった安全運転支援が実現している.さらに近年では,路車間や歩車間通信の他に,携帯回線を用いたクラウドとの通信も可能となり,これらを総じてV2X通信と呼ぶ.V2X通信を行うことで,自車両の周辺情報をクラウド上で他車両と共有することができる.しかし,不適切な情報がクラウドに与える影響を考慮する必要がある.自身の車両情報を偽ることで,クラウドを利用したシステムを攻撃することができ,故意に渋滞や事故を誘発することが可能である.本研究では,V2X通信を行い車両の周辺情報を利用することで,クラウドに集約されるデータから,不正データを検知する手法を提案する.クラウドへの送信データに対し,考え得る脅威や求められる要件を分析し,本研究が取り組むべき問題を明らかにした上で,提案手法の実装による評価を算出する.結果は不正データを93%検出することができ,さらに提案手法の閾値を増加させることで,検知率を100%にすることもでき,データの信頼性を保証する効果が高まることを示した.さらに,提案手法のフォールスホジティブや実行処理時間を示し,提案手法が実現可能であるかを考察した.

スマートグラスにおけるARを用いた音声コミュニケーション支援手法の提案(阪田 大輔)

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近年,音声認識技術の研究が盛んに行われている.音声認識は日常生活でも用いられ,その一つにコミュニケーション支援が挙げられる.音声認識を用いたコミュニケーション支援手法は,会話内容をパソコンや携帯端末に表示するものがあり,聴覚障がい者が視覚的に情報を取得できるようになるが,使用場所や動作が制限されるという問題がある.そこで本研究では,スマートグラスとジャイロセンサを用いることで,制限を払拭した円滑でバリアフリーなコミュニケーション支援手法を提案し,実装,評価を行った.本論文では,既存手法と提案手法の使用環境の違いと操作性を比較し,提案手法が有用であることを示した.

Webベースダイナミックマップの実装と評価(杉坂 竜亮)

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近年,高度道路交通システム(ITS:IntelligentTransportSystemys)の研究開発が活発に行われ,道路交通の安全性や快適性は日々進歩している.これまでは車両単体でのセンシングが中心となっていたが,今後は車両ごとに得た情報を共有することで周囲の車両同士が協調し合う仕組みが重要になると考えられる.情報を共有する仕組みとして注目されているものの1つとしてダイナミックマップがある。ダイナミックマップは,道路や建物のように変化の少ない情報だけでなく,周囲の車両や歩行者のように絶えず変化する情報を合わせ持つことで,より高度な地図情報を作り出すことが可能となる.今後,ダイナミックマップを用いたITSのサービスが多く提供されると想定される.そこで本研究では,ダイナミックマップを用いた様々なアプリケーションの開発,テストを支援することが可能なWebベースダイナミックマップを提案する.シミュレータを用いて評価を行い,Webベースダイナミックマップを利用して作成したシステムが実用的な範囲の処理時間内に動作することを示した.

データフローモデルを基盤としたドライビングシミュレータ構築環境の評価(青野 朝日)

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近年,複数の情報機器やセンサデバイスを組み合わせることにより,シミュレータ上で現実に近い体験を行うことが可能である.このような体感シミュレータの一つとしてドライビングシミュレータが挙げられる.従来は,シミュレータ上の車両モデルを入力機器によって制御するのみであったが,VR(VirtualReality)機器の技術的進歩により,現実で運転している感覚を得ることが可能になりつつある.しかし,現実と同じ運転体験を行うためには多くのモジュールをシステムに組み込む必要がある.VR機器,手の形状を認識するセンサデバイス,音響システム,送風機など現実に近づけるほどモジュール数の増加が見込まれるため,システムの複雑化,管理の難しさが問題点として挙げられる.また,自動で3Dマップを作成するソフトウェアがあるが,こうした処理負荷の大きいソフトウェアが次々に開発されているため,柔軟にこのようなソフトウェアとの連携を行う必要がある.そこで,本研究では,前述で挙げた問題点を解消するために,システム全体が細分化されたプロセス間をデータ通信することによって構築されるデータフローモデルを利用し,ドライビングシミュレータの実装を行った.また,既存手法との比較評価を行い,提案手法の優位性を示した.