2017年8月21日の第90回月例発表会(研究室合宿@リトリートセンター)において,日吉生海(B4),西村 閣晋(B4),西牧 佑哉(B4),徳弘 誠志郎(B4),岩月 海人(B4),井上 綺泉(B4),中谷 要太(B4),木村 健太(B4),英 翔子(B4),横田 雅樹(B4)の10名が以下のタイトルで発表を行いました.

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    360 度動画のストリーミング配信時におけるデータ量削減(日吉生海)

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    近年,360度動画やVR,ARなど三次元動画の認知度が上がり始めており,2020年の業界全体での売り上げ額は,2016年度の10倍以上に伸びると予想されている.そんな中,三次元動画は二次元動画に比べデータ量が増大となり,ストリーミング配信を実現するためには,少なくとも30Mbpsの伝送速度が必要とされる.しかし,一般的な家庭用無線LANは5Mbpsであるため,約6倍以上の差が生じる.また,4k映像の再生が可能な360度動画視聴用のデバイスを作ることができたとしても,そのデバイスに会った高解像度のコンテンツに合った高解像度のコンテンツが一般的に広まるのは,まだまだ先ではないかと言われている. そこで,本論文では,ユーザが注視している部分の画質は落とさず,よりデータ量を削減する手法を提案する.

    SNMPプロトコルを利用したAR技術によるホームネットワーク機器管理手法(西村 閣晋)

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     近年IoT(InternetofThings)という技術が注目されている中で,無線ネットワークの把握や管理は重要なものとなってくる.このようなIoTの技術を取り入れた商品が一般家庭内に浸透すると同時に,ユーザは自ずと無線環境下のネットワークについて考えさせられる場面が想定される.しかし,一般のユーザにとってはネットワークや無線の仕組みや,技術,通信プロトコルの違いは理解し難いものであることが現状である.こういった中,ネットワークや無線に対する知識が乏しいユーザにも簡単に無線環境が理解,管理できるように無線ネットワークの可視化を,AR(AugmentedReality)技術を用いて直感的に把握できる手法の提案がされている.同志社大学の坂本は,通信規格の違いを意識せずにユーザが無線通信を可視化できるようなプラットフォームとアプリの作成[1]をしている. しかし,この手法では端末情報や,各種通信に利用するプロトコルの定義ができていないため,この技術が普及することは難しいと考えられる.また他のノード当てのパケットを受診するプロミスキャスモードを採用してネットワークリンクの把握をしているため,管理ノードに対する負荷が大きくなるといった欠点が挙げられる. よって本論文では端末情報や,ネットワークリンク情報を,現在のUDP/IPを基にした標準的なネットワーク監視プロトコルであるSNMP(SimpleNetworkManegementProtcol)とAR技術を利用したネットワーク機器管理手法を提案する.

    車両およびビーコンからのRSSI を利用した歩行者位置推定精度向上手法の検討(西牧 佑哉)

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     近年のスマートフォンやタブレット端末の普及率の増加に伴い,ナビゲーションやAugmentedReality(AR)を用いた空間への情報付与など,位置情報を利用したサービスを利用する機会が増加した.位置情報を利用するサービスの多くがGPSを利用して位置情報を取得している.GPSは,複数のGPS衛星から送信された時刻情報付きの信号を受信し,発信時刻と受信時刻との差から衛星との擬似距離を求めることによって位置を推定するが,ビル等の高い建物が周囲に多く存在する市街地環境では,GPS信号が建物によって遮蔽されたり,反射したりするなどの影響により測位誤差が数十mにもなるという問題がある. また,ITS(IntelligentTransportSystems)において,車両と歩行者が通信を行い,位置情報を取得することによって交通事故を回避しようとする研究が行われている.ITSにおいても,位置情報に誤差があると,交通事故を回避することができない可能性がある,という問題が生じるため歩行者の位置を正確に推定することは重要である. 本稿では,車両およびビーコンからのRSSI(ReceivedSignalStrengthIndicator)を利用し,歩車間および,歩行者とビーコン間の距離を高精度で推定し,歩行者の位置推定精度を向上する手法を提案する.

    唇に加速度センサを用いたコミュニケーション技術(徳弘 誠志郎)

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     コミュニケーション技術として,音声認識を使ったソフトやハードが既に多数存在するが,雑音の多い場所や電気機器のノイズの影響が出る場所では認識率が下がる.また市販の音声認識ソフトを使用する際には,雑音のない静かな場所や,高性能なマイクを使って補う必要がある. 音声認識技術は周囲に気を使うあまり,外でのスマートフォンによる音声認識があまり利用されているところをみないのが現状である. 似たような技術として読唇技術がある.読唇技術とは口の動きを認識するもので,音声認識とは違い声を使うことなく口を動かせるひとなら簡単に使用することが可能である.口は顔の中で一番動きを複雑に出来,自身が持つ領域で行うことができる.従来の研究ではカメラで口周りを抽出し,その口の動き幅などで認識していた. 本研究では,無音声認識コミュニケーション技術である読唇技術について研究を行う.センサを使用して発話された内容を認識出来れば,音声に依存しない処理が可能となり,カメラを使用せず認識する事が可能である.

    移動体の位置と速度を考慮したSDN による ネットワークの効率的接続(岩月 海人)

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     高機能端末の増加によりアプリケーションが必要としているデータ量も増加している.それによりLTE回線の利用がさらに増大していくことが予想され,人が集中するような場所や時間帯によっては回線が著しく混雑することが予想される.回線の混雑を回避するために各キャリアはLTEなどの携帯回線のトラヒックをWi-Fiなどへオフロードするという対策をとっている.携帯回線の周波数リソースが限られているということもあり,今後Wi-Fiなどの無線LANを活用する動きが活発化していくと考えられる. 無線LANなどのカバーエリアの狭い通信方式を利用して移動体通信を行う場合,セルラ利用時と比べてアクセスポイント(AP)の切替えが頻発する.APの切替えの回数が増えるということから,従来よりも迅速なネットワークへの接続が必要となってくる.ここでは迅速なという言葉を切替え時の通信切断時間が短いということと定義する. そこで本研究では,移動体特有のパラメータである「位置」と「速度」を考慮して接続するAPを選択し,SDN(SoftwareDefinedNetwork)を利用し,事前に次に接続するAPと情報を交換することで効率的なネットワーク接続を可能とする接続方式を提案する.

    ARを利用した複数視点からの対象物特定手法(井上 綺泉)

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     近年,スマートフォンを利用し複数人で位置を共有する研究が多くなされている.現在では,道を案内するときは携帯端末のマップから得た位置情報をLINEやメールで送信することによって複数人で位置情報の共有をし,それぞれが共有したい物体を認識することが出来る.しかし,共有したい物体の位置に表示する目印は携帯端末の画面上のみであるため,共有する物体を探す場合は実際の景観と携帯画面を交互に照らし合わせて見る必要がある. そこで本研究では,現実空間に仮想空間の情報を重畳させて表示するAR(AugmentedReality)を用いる.カメラを二台用意し,基準とするカメラで共有する物体を撮影する.そして,基準のカメラがどの物体を撮影しているかを,もう一台のカメラから得られたカメラ画像にAR情報を重畳することで共有の実現を図る.

    周辺環境状況に基づく動的ポリシー設定による小型無人機操縦の支援(中谷 要太)

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     近年,無人航空機(以下,ドローンと記す)の研究が盛んに行われている.ドローンはインフラ点検,災害調査などの産業用途や農業用途への活躍が期待されている.米Amazon.comではドローンによる配送サービス「AmazonPrimeAir」を発表している.顧客が注文した商品を30分以内にドローンに配達させるサービスである.今後,ドローンは多岐にわたる活躍をすることが予想される. しかし,墜落・衝突事故や空撮映像のプライバシーの問題など様々な問題を抱えている.ドローンの墜落・衝突事故は4つの大きな原因が考えられる.突風によるバランスの欠如,バッテリー切れ,電波障害による制御不全,そして操縦ミスや判断ミスによる障害物との接触があげられる.その中でも一番多い事故の原因と言われているのが,操縦者の判断ミスや操縦ミスである.現在普及しているドローンの大半は,操縦をサポートする機能は搭載されておらず,操縦者の技術に依存している. このような背景から,本研究は操縦者の判断ミス,操縦ミスによる事故の軽減を目指し,ドローンに付属のカメラからの画像認識により得た情報をもとに,ドローン操作の自由度に制限をかけることで操縦を支援するシステムを構築する.

    協調型自動運転における安全と効率の評価検討(木村 健太)

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     近年V2X(vehicle-to-everything)通信を用いることで,車両が直接視認することのできない死角情報を取得したり,他車両と協調した自動走行を実現するために,協調型システムの研究が行われている.自車両のセンサ情報だけで自動運転するのではなく,車車間通信や路車間通信を併用した場合,300m周辺の認識率が上がることは示されており,このことから今後車両にとってV2X通信は不可欠な要素であり,様々な対象との通信が行える.車両が通信する対象は,他車両や路側機,クラウドサーバなど様々なものが想定されている。他車両とは車車間通信,路側機とは路車間通信を使い通信でき,クラウドサーバとは携帯回線を利用し,通信することができる。 しかし現状,車両の通信対象がそれぞれどの程度,交通におけるサービスやシステムに影響を与えるかの指標がない.今後V2X通信を可能とした車両を開発するにあたり,通信対象を広げ、周辺情報をどの程度得る必要があるのかを正確に把握する必要がある. 本研究では,車両が把握できる周辺情報を段階的に増加させることで,交通における安全や効率にどのような変化をもたらすのかを評価する.その結果から,車両における通信利用時の効果を検討する.

    ダイナミックマップを基盤としたバーチャル信号による交通制御アプリケーション(英 翔子)

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     近年,事故や渋滞,環境対策など様々な課題を解決するためのシステムとしてITS(IntelligentTransportSystems)の研究が盛んに行われている.その中でも自動運転技術が注目されている.自動運転技術では,他の車両と連携し,車両が効率よく通行できるように制御することが重要である.しかし,現在の信号機は予め定められた周期で動作する様に制御されている.この制御方法では全く車両がいないのに赤信号による待ち時間が起こってしまうなど,効率が悪い.今後は,車両の位置情報や速度情報を基にして動的に信号を制御することが必要になる. そこで本研究では,ダイナミックマップを用いて効率的に交通を制御する手法を提案する.

    優先度制御を用いた車車間通信における効率的情報配信手法(横田 雅樹)

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     近年,交通インフラを支える仕組みとして,安全性向上や利便性向上などを目的とした知的交通システム(ITS)の研究が進められている.ITSの技術の一つに車両間で通信を行う車車間通信がある.車車間通信は安全性や運転者の快適性向上を目的としたアプリケーションにおいて,必要なデータをやり取りするために用いられる.車車間通信の普及により,安全性や快適性の向上が見込まれる一方で,アプリケーションの充実や対応車両の増加による伝送データ量の増加によるトラフィックが増加が考えられる.この状況下では緊急性の高い情報の遅延やパケットの衝突が発生してしまう可能性がある.そのため,情報の緊急性に加えて,車両の位置関係などの周辺状況を考慮した通信制御を行い,通信の改善を図る必要がある. 本研究では,車車間通信において,優先度制御を用い交通の安全性を高めつつトラフィックを削減する情報配信手法の提案を行う.優先度制御を用いた再送により,緊急性の高い情報を効率よく伝送する.また,本手法の有効性に関して考察を行う.