2018年4月14日の第96回月例発表会(M1)において,西村 閣晋(M1),岩月 海人(M1),西牧 佑哉(M1),井上 綺泉(M1),木村 健太(M1),横田 雅樹(M1)の6名が以下のタイトルで発表を行いました.

AR技術によるネットワーク接続機器監視手法の提案(西村 閣晋)

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近年IoT(InternetofThings)技術の発展に伴いモノ同士の通信が発達し,利用するユーザは通信によるネットワーク接続状態や,各ネットワーク接続機器の状態を把握することが重要になる.例えば,Bitcoinにおいて,攻撃者が他者のコンピュータのリソースを遠隔で利用し,マイニングを行なっていることが問題となった.このようにユーザが意図しない通信の多発が予想されるため,今後,ネットワーク接続機器の状態を把握することがますます重要になる.しかし,現状のネットワーク接続は無線LANでのワイヤレス接続が主流であり,機器の通信を直感的に把握することは難しい.また,機器が攻撃された際,その機器のCPU負荷を調べることでこういった攻撃を発見することは可能だが,実際にはCPU負荷を調べるコマンドを入力し,その表示内容をユーザが理解しないといけないという手間が発生する.そこで本研究では,AR(AugmentedReality)技術を用いて,ネットワークに接続された機器をユーザが直感的に監視するシステムを提案する.

移動体の位置と速度を考慮したSDNによるネットワークの効率的接続(岩月 海人)

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高機能端末の増加によりアプリケーションが必要としているデータ量も増加している.それによりLTE回線の利用がさらに増大していくことが予想され,人が集中するような場所や時間帯によっては回線が著しく混雑することが予想される.回線の混雑を回避するために各キャリアはLTEなどの携帯回線のトラフィックをWi-Fiなどへオフロードするという対策をとっている.携帯回線の周波数リソースが限られているということもあり,今後Wi-Fiなどの無線LANを活用する動きが活発化していくと考えられる.無線LANなどのカバーエリアの狭い通信方式を利用して移動体通信を行う場合,セルラ利用時と比べてアクセスポイント(AP)の切替えが頻発する.そこで,従来よりネットワークへの接続を効率化する必要がある.ここでは効率化を切断時間の短縮と定義する.そこで本研究では,移動体特有のパラメータである「位置」と「速度」を考慮して接続するAPを選択し,SDN(SoftwareDefinedNetwork)を利用し,事前に次に接続するAPと情報を交換することで効率的なネットワーク接続を可能とする接続方式を提案する.

移動体の電波強度を利用した歩行者の位置推定精度向上手法(西牧 佑哉)

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近年,スマートフォンやタブレット端末の普及率の増加に伴い,それらの位置情報を用いた様々なサービスが利用されている.例えば,これらの機器をナビゲーションの為に利用することができるが,位置情報の誤差が大きいと目的地まで辿り着けないという恐れがある.また近年,車車間通信や歩車間通信など,自動車の安全性や運転手の快適性の向上を目的とした知的交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の研究が行われている.歩車間通信によって交通事故を減らすことを考えた場合,お互いの正確な位置情報が必要となる.こういったサービスやシステムで重要となる位置情報を取得する手法として位置測位システムがあり,その中で最もよく利用されているのがGPS(GlobalPositioningSystem)である.GPSの位置推定精度は数mから数十mであるが,都市部では,GPS信号が建物による遮断やマルチパスの影響を受け,位置推定誤差がさらに増大するという問題がある.そこで本研究では,ITSの発展によって今後,車車間通信や歩車間通信が普及していくことを踏まえ,ビーコン及び車両の電波強度を利用した屋外における歩行者の位置推定精度を向上させる手法を提案する.

ARを利用した複数視点からの物体指示手法(井上 綺泉)

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近年,スマートフォンを利用することにより複数人で位置の共有をする研究が多くなされている.例えば,道を案内するときは携帯端末のマップから得た位置情報の共有をし,それぞれが共有したい物体を認識することができる.しかし,共有したい物体の位置に表示する目印は携帯端末の画面上のみであるため,共有する物体を探す場合は実際の景観と携帯端末を交互に照らし合わせて見る問題点が生じる.そこで本研究では,二台のカメラを使用し,視差からカメラ画像に表示させるAR情報の位置を調節することによって複数人で物体を共有する手法を提案する.

協調型自動運転の交差点通過における安全・効率のシミュレーション評価(木村 健太)

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近年自動運転技術の研究開発が盛んに行われている.自律型自動運転車はカメラやレーザレーダ,ミリ波レーダなどを車両に搭載して周辺情報を収集する.そして,その周辺情報を用いて車両の走行を制御する.しかし,このような車載センサは視角範囲外の検知が不可能であるといった欠点をもつ.そのために見通しの悪い交差点での飛び出しや出会い頭衝突の回避は困難である.V2X(vehicle-to-everything)通信を用いることで,車両が直接視認することのできない周辺情報を取得できる.この情報を用いることで他車両と協調した自動走行を実現するために,協調型自動運転の研究も行われている.今後自動運転車両にとってV2X通信は不可欠な要素であり,将来的に様々な対象との通信を行う事が予想される.本研究では,通信を使用した際に交差点通過安全基準を定める手法を提案し,自動運転車両が通信を用いることで周辺車両情報を得る場合と得ない場合を比較することで,見通しの悪い交差点通過時において通信の使用が交通の効率,安全に及ぼす影響の評価を目的とする.

優先度制御を用いた車車間通信における効率的情報配信手法(横田 雅樹)

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近年,交通インフラを支える仕組みとして,安全性向上や利便性向上などを目的とした知的交通システム(ITS)の研究が進められている.ITSの技術の一つに車両間で通信を行う車車間通信がある.車車間通信は安全性や運転者の快適性向上を目的としたアプリケーションにおいて,必要なデータをやり取りするために用いられる1).車車間通信の普及により,安全性や快適性の向上が見込まれる一方で,アプリケーションの充実,対応車両の増加による伝送データ量の増加,それに伴う通信トラフィックの増加が考えられる.この状況下では緊急性の高い情報が遅延してしまう可能性がある.そのため,情報の緊急性に加えて,車両の位置関係などの周辺状況を考慮した通信制御を行い,通信の改善を図る必要がある.本研究では,車車間通信において,独自の優先度を用い,通信トラフィックを削減する情報配信手法の提案を行う.優先度制御を用いた再送により,緊急性の高い情報を効率よく伝送する.また,本手法の有効性に関して考察を行う.