2018年5月26日の第97回月例発表会(B4)において,吉田 彪雅(B4),早戸 洋介(B4),生駒 大志郎(B4),中川 凌(B4),高谷 祐希(B4),谷井 洋樹(B4),大坪 由幸(B4),廣辻 侑哉(B4),岸田 慎之介(B4),岡村 俊樹(B4),畑山 諒太(B4)の11名が以下のタイトルで発表を行いました.

Webアプリケーションにおけるミューテション解析の検討と評価(吉田 彪雅)

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近年,スマートフォンやパーソナルコンピュータの普及に伴い,様々なアプリケーションが作成されている.そのほとんどのアプリケーションがGUI(GraphicalUserInterface)を持ち,ユーザが簡単に操作ができるようになっている.開発者はアプリケーションの品質,信頼性を保つ為に様々な方法を取るが,その一つの方法にテストの記述があり,多くのアプリケーションで用いられる方法である.テストが正常にバグを検知するには,適切なテストスイートを用いる必要があり,人が正常にバグを検知できるテストスイートを作り出すのは難しい.テストスイートの十分性を定量的に計算する手法としてミューテション解析という方法が存在する.ここでは通常は単体テストなどに用いられるミューテーション解析をGUIテストに応用する方法を提案する.

SDNを用いたライブストリーミング動画の効率的配信手法の提案(早戸 洋介)

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近年,インターネット上でYoutubeなどの動画配信サイトが普及されるほか,スマートフォンの画面収録機能を活用したライブ配信を可能とするアプリケーションも普及したことにより,動画トラフィックが増大し,インターネット通信網の多くを占有している.また,今後動画の質(解像度やフレーム数)の向上を目指す傾向により,動画トラフィックの増大がネットワークの遅延や通信障害を引き起こすと予想される.そこで本研究では,トラフィック増加による通信障害の被害を最小限に抑えるべく,OpenFlowによるSDN環境でパケットの経路制御を行うことで,ライブストリーミング配信によるバーストトラフィックの発生を防止するシステムを提案する.

ブロックチェーンにおけるProof of Workの51%攻撃対策手法の提案(生駒 大志郎)

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近年,暗号通貨は世界で流通し,どこにも中心を持たないP2P技術を用いた分散型の通貨として,また,法的通貨との交換価格の変動幅や交換所の破綻などの事件で注目を集めている[1].仮想通貨の代表としてビットコインが挙げられるが,ビットコインの実装を支えている技術がブロックチェーンである.ブロックチェーンは分散型取引台帳とも呼ばれ金融機関を介さず,ユーザ同士でシステムを管理しあう構造を取り,ブロックチェーンを支える技術であるProofofWorkによる改竄の困難性や非中央集権性から様々な分野での応用が期待されている.しかし,ProofofWorkには電力消費量が多いことや全体の半分以上の計算力を持つマイナーが団結することで改竄が可能になる(これを51%攻撃と呼ぶ)というデメリットがある.本研究では,51%攻撃に着目して,ProofofWorkにおいて,ハッシュ値を計算することに成功したマイナーに対して次回からの計算に負荷を与える手法を提案する.

画像認識を用いた位置推定手法の提案(中川 凌)

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近年,SocialNetworkingService(SNS),ゲームやナビゲーションシステムといった様々な分野で位置推定システムが利用されている.位置推定を活用したサービスは今後も増加すると予想される.現在,位置推定を利用したサービスの多くはGlobalPo-sitioningSystem(GPS)を用いたものがほとんどである。しかし,屋内や地下などのGPSを利用できない場所では正確な位置推定が困難である.そういった問題を解決するために,PedestrianDeadReckoning(PDR),BluetoothLowEnergy(BLE),無線LAN,二次元マーカ,特徴点マッチングなどを利用した研究がある.しかし,それらの多くはあらかじめ機器やマーカを設置する必要がある.また,特徴点マッチングによる手法では新たに機器等を設置する必要がないが,大量の風景画像をデータベースに保存しておく必要がある.本研究では,あらかじめマーカとなる対象物を設定し,それらをカメラで認識することでユーザの位置推定を行う手法を提案する.提案手法では,新たに機器を設置する必要がなくなり,既存手法に比べて事前作業を少なくすることができる.

歩きスマートグラスにおける歩行者検知による自動画面透過(高谷 祐希)

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現在,スマートフォンの普及とともに歩きスマホが社会問題になっており,駅のホームに落ちたり,人や物とぶつかる事故が多発している[1].また,様々なものがスマート化され,スマートウォッチ,スマートスピーカーなど様々なアイテムが開発されている.そのスマート化されているアイテムの中にスマートグラスというものがある.スマートグラスとは視線の先に様々な情報を表示することが出来るメガネ型のデバイスで,スマートフォンを開かずとも必要な情報を瞬時に確認できるという利点がある.しかし,スマートグラスは現在の歩きスマホの問題のように,ディスプレイに没入してしまったり,画面が視界を遮ってしまうことで,運転や歩行時に事故の危険性が増してしまうという問題点がある.Googleが開発したスマートグラスにGoogleGlassというものがある.GoogleGlassは安全性の問題とプライバシーの問題で,販売が中止されてしまっている[2].今後スマートグラスが普及すると,歩きスマホのように事故が多発してしまい社会問題になってしまうと考えられる.そこで,本研究では歩きスマートグラスにおける問題を解決するため,前方に歩行者を検知すると画面を透過する手法を提案する.

電子透かしを利用した駅構内における道案内システムの提案(谷井 洋樹)

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日本は世界でも有数の電車大国である.世界の駅を利用者数の多い順に並べてみると,上位は日本の駅で埋まってしまうほどである.これらの利用者数の多い駅では,駅構内が非常に複雑化しており,リアルダンジョン等と表現されることもある.初めてこのような駅を訪れると迷ってしまうこともある.そこで,本研究ではこのような問題を解決するために,駅構内のデジタルサイネージに電子透かしを利用して位置情報を埋め込み,それを画像認識によって検出するスマートフォンのアプリを開発する.

TODにおけるトランザクション承認時間改善によるセキュリティの向上(大坪 由幸)

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近年,仮想通貨の影響により,イーサリアムプラットフォームにおける分散型アプリケーションが様々な産業分野において開発されている.イーサリアムはブロックチェーン技術を利用したブロックチェーンネットワークである.ブロックチェーンはまだまだ未成熟な技術なために,セキュリティ問題が実際に起き(TheDAO事件1)),膨大な資産が攻撃者に奪われる事件が起きた.このように,ブロックチェーンを活用したアプリケーションはスマートコントラクトを開発することが主であるが,オープンネットワークなため,常に攻撃者に脅かされるリスクが付きまとう.そして,ブロックチェーンを活用したアプリケーションが増えるにつれて,セキュリティ問題に直面する機会が今後増えると予想される.そこで本研究では,イーサリアムスマートコントラクトのセキュリティ問題の1つであるTOD(Transaction-OrderingDependence)に焦点を当てて攻撃者が取り得るであろう行動の一例を検証して,トランザクションの適切な承認時間について考察する.

スマートグラスを用いた視覚障碍者誘導ブロックの検知による歩行者支援方法の提案(廣辻 侑哉)

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近年,障碍者に対するバリアフリーが進められている.例えば,階段におけるスロープや様々な箇所に設けられた手すり,そして視覚障碍者誘導ブロック(以下点字ブロックとする)である.視覚障碍者のうち程度は様々であるが,日本盲人会連合によると弱視の割合が7割程度である.そのため,本研究では弱視者に重点を置く.こういった視覚障碍者を補助するものとして代表的なのがこの点字ブロックである.図1のように点字ブロックには2種類のものがある.しかし,点字ブロックは配置の影響などにより視認しくくなってしまうものもある.それを解決しようと様々な技術が考えられている.様々なセンサーを設置することで視覚障碍者の位置を特定しナビゲーションをおこなうといった技術も考えられている[1][2].しかし,この従来の視覚障碍者向け歩行支援技術は既存の点字ブロックのみを利用したものはなく,また誘導ブロックに着目したものが多く警告ブロックに着目したものもなかった.誘導ブロックももちろん重要であるが,危険であることを教える警告ブロックのほうが重要度は高い.そこで本提案手法はこういった問題点を解決するために点字ブロックをスマートグラスで認識し,警告ブロックの有無を通知することで視覚障碍者を補助する.

車両の走行状態を利用したデータ伝送効率化手法(岸田 慎之介)

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近年,ITS(IntelligentTransportSystems)において,安全性や利便性の向上ための研究開発が盛んに行われており,車両同士で無線通信を行い,車両情報(位置,速度等)を共有する車車間通信,道路に取り付けられている路側機と通信を行う路車間通信が登場している.最近ではLTE(LongTermEvolution)を利用して,車両情報をクラウドへ送信し,交通情報や車両情報を他の車両と共有する研究1)や,自動運転の要素技術2)に道路及び車両の位置が車線レベルまで特定出来る高精度三次元地理空間情報に運転をサポートするための情報(例えば,速度制限等の静的情報,事故や渋滞情報といった動的情報)を載せたダイナミックマップの研究が行われている.事故や渋滞といった道路の交通情報をリアルタイムで配信及び管理することで,事故防止や渋滞緩和の対応が容易である.しかし,交差点や高速道路,渋滞といった車両の交通量が多くなる状況では通信されるデータ量が増加し,通信遅延が生じる.通信遅延が起きることで判断が遅くなり,人身事故や車両同士の衝突事故に繋がるため,遅延の少ないリアルタイム性が必要である.本研究では,車両の走行状態を元に車両が送信するデータ量を変化させ,データ量を削減し,効率化を図る伝送手法を提案する.

Wi-Fiを用いたドローンの禁止区域侵入を防ぐ方法の検討(岡村 俊樹)

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現在,安価で高機能なドローンをはじめとするドローンの販売に伴い,様々な企業がドローンを用いたサービスを開始している.また,民間用ドローンの出荷台数も年々増えており,今後ますますドローンは日常生活で目にする機会が増えてくる.しかしその一方で,2017年11月岐阜県のイベント会場においてドローン墜落の事故が起こったように,国土交通省へ報告されているだけでもドローンの事故数は年々増加している.この事故を機に2018年1月に改正航空法[1]が定められ,厳密に飛行禁止区域が定められた.しかし,実際には,意図せぬ禁止区域への侵入や,悪意を持って操縦されたドローンの民家への違法侵入などを防ぐことは困難である.そこで本研究では、無線LANの規格の1つであるWi-Fiに注目した.2015年の総務省の調べによると家庭内無線LANの普及率は53.6%に上り,これからも普及率はさらに上昇すると考えられる.このことから,民家への違法侵入を防ぐためにWi-Fiを活用することができる。また,多くの市街地で,公衆無線LANの設置が進められている.このことから,市街地へのドローンの違法侵入を防ぐためにもWi-Fiを活用することができる.このような背景から,本研究では,禁止区域へのドローンの侵入を防ぐということを目指し,ドローンが受信するWi-Fiの電波を計測し,それを基にドローンの操作に制限をかけるというシステムを提案する.

協調型自動運転における,一車線高速道路合流付近の渋滞緩和手法の検討と評価(畑山 諒太)

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近年,自動運転に関する研究が盛んに行われている.自動運転には二つのシステムがあり,自律型自動運転と協調型自動運転が挙げられる.前者は,車両に搭載されたセンサで得た情報を基に行動を決定し,走行するシステムである.後者はV2X(Vehicle-to-everything)通信を用いた,車車間通信や路車間通信を利用し,走行するシステムである.自律型自動運転では必ずしも,死角などに潜んでいる情報を自身のセンサから得られるわけではないが,協調型自動運転は自身だけでは得られない情報も周辺のセンサから得ることができる.そのため,車車間通信や路車間通信などのV2Xの技術は有用性が評価され,研究が進められている.本研究では,一車線高速道路における,合流地点付近の車両の急な減速による渋滞発生の問題に着目し,協調型自動運転による問題解決を試みる.解決策として,一車線高速道路の合流における車両群の事前の加減速を用いた渋滞緩和手法を提案し,シミュレーションにて,合流地点での協調型自動運転車の協調行動を調整することによって,交通量ごとの最適な協調行動パターンを導き出す.そして,従来の手動運転と効率性を比較し,提案手法の有用性を評価する.