2018年7月14日の第99回月例発表会(M1・M2)において,横田 雅樹(M1),阪田 大輔(M2),木下 浩希(M2),東 峻太朗(M2),杉坂 竜亮(M2),長谷 錦(M2)の6名が以下のタイトルで発表を行いました.

車両走行時の情報を用いたドライバーの認識状態の推定(横田 雅樹)

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近年,交通インフラを支える仕組みとして,安全性向上や利便性向上などを目的とした知的交通システム(ITS)の研究が進められている.それに伴い,様々なITSを用いた安全運転支援システムの研究も進められている.一方で,日本における交通事故にて,2016年度は年間3904人が亡くなっている.その中でも,移動状態別の分類では,歩行者の死者が1361人とトップとなっている1).つまり,特に都市の車両と歩行者が共存する道路や見通しの悪い道路においては,安全運転支援システムによって対歩行者交通事故を防止する必要がある。ほとんどの対歩行者交通事故は,人為的なミス,特にドライバーの知覚ミスや認識ミスに起因する.そのため,安全運転支援システムはドライバーよりも高度に歩行者の位置情報を認識する.そして,認識した情報をドライバーに提供することによって人為的なミスを防止する.しかしながら,現在の安全運転支援システムはドライバーの認識状態を考慮していない.ドライバーの認識状態を知ることができれば,それに応じてより効果的な情報提供の手法を検討することが可能となる.本研究では,ドライバーが車両を運転しているときに,道路を横切っている歩行者の認識状態の推定を行う.歩行者の認識状態とは「ドライバーが衝突する可能性のある歩行者を認識しているかどうか」を指す.ドライビングシミュレーションにより取得したデータを用いて,機械学習による推定を行い,その精度について検討を行う.

スマートグラスにおけるジャイロセンサによる個人特定パスワード入力方式(阪田 大輔)

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近年,ウェアラブルデバイスであるスマートグラスが普及しつつある.スマートグラスをかけることにより,その画面上に映し出された情報を操作し,電子メールやインターネットのような様々なサービスにアクセスすることができる.また,AR(AugmentedReality)やVR(VertualReality)のアプリケーションも開発されている.これらのサービスへの不正アクセスを防ぐために,ユーザの身元を確認する方法として,パスワードベースのユーザ認証方式が採用されている.しかしパスワードベースのユーザ認証には,パスワードが漏洩する危険がある.スマートグラスは公共エリアや屋外など,パスワード漏洩の影響を受けやすい状況下で頻繁に使用されるため,漏洩の危険が増す.提案方式では,スマートグラスのジャイロセンサを用いてパスワードを入力し,ジャイロセンサの特徴量から個人を特定することで,パスワード漏洩と不正アクセスの対策を図る.

地理的位置と画像認識を併用した歩行者認識手法の提案(木下 浩希)

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近年AI(ArtificialIntelligence)やビックデータといった技術に注目が集まっており,人間の日常を支える交通分野でも多くのIT技術が利用されている.その中でも自動運転は今後ますますの発展が見込まれ,事故の防止や渋滞緩和など既存の車のあり方を大きく変える可能性を持っている.運転には認知・判断・操作という3つの段階がある.認知では事故を起こさないために高速・高精度であることが求められる.現在自動運転では周囲環境の取得方法としてセンサーによる方法と通信による方法の2つが考えられている.本研究では歩行者の地理的位置情報を利用する事で,画像による歩行者の認識精度を向上させる手法を提案する.

Improvement of False Positives in Misbehavior Detection(東 峻太朗)

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In recent years, research on autonomous driving and vehicle-to-vehicle (V2V) communication have been conducted in the Intelligent Transport Systems (ITS) field. In addition, vehicles have vehicle-to-cloud (V2C) communication with cloud servers using mobile lines. When vehicles are connected to various targets, malicious acts have enormous impact. This paper represents further work on our previous publication ”A Method of Detecting Camouflage Data with Mutual Position Monitoring”. In our previous research, we proposed how to detect malicious vehicles which sent masqueraded data of their positions. We evaluated the detection rates and received good results. We found that we could detect completely malicious vehicles by increasing the threshold value of our detecting method. However, we have some problems. We especially considered the false positives problem in our previous research. We thought that vehicle densities affect false positives, so we calculated them in high vehicle densities. We cloud find high vehicle densities help suppress false positives, but this countermeasure is effective in only this situation. We should address the false positives problem in low vehicle densities. In this paper, we will reveal our research’s target at first. Next, we will describe the operation of proposed method. Then, we will describe improvements of previous research, which are methods of weighting for each vehicle and dynamic determination, and then we will describe the evaluation of these methods.

車両走行状況を考慮したダイナミックマップの効率的更新手法(杉坂 竜亮)

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近年,高度道路交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の分野において研究開発が活発に行われ,道路交通の安全性や快適性は日々進歩している.高機能化の進んだ自動車にはカメラやセンサーなどが搭載されつつあり,現在ではGPSによる自車両の現在位置の把握だけでなく,周辺環境を認識しながら走行することが可能となっている.またこれらの技術を利用し,各車両がセンシングによって得た位置や速度などの動的な情報をクラウドへと送信し2),道路や建物など静的な地図情報上に重ね合わせることでダイナミックマップを構築する研究も進められており,今後発展していくと考えられる自動運転において重要な役割を果たすと期待されている3).自動運転以外にもダイナミックマップを利用することによって,車両が単体で行うセンシングでは得ることのできないより広範囲の車両走行情報と周辺環境情報を得ることで,高度な安全運転支援や渋滞緩和などを目的とした走行制御が可能となる1).ダイナミックマップを用いることで新たな運転支援が可能となる一方で,ITS車載器が搭載された車両の増加や高度なサービスの登場による通信トラフィックの増加が問題となる4).そこで本研究では,走行している車両の情報や周辺の道路情報に応じてクラウドと通信を行う周期を変化させ,車両とクラウド間の通信トラフィック増加に伴う負荷を低減させるために適切な設定を検証する.

VR酔い軽減手法の比較と検討(長谷 錦)

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近年,VirtualReality(VR)技術が発展してきている.HMDを装着することで,コンピュータで作成した仮想3D空間に自分がいるかのような体験をすることができる.高所作業のシミュレーションや,不動産会社の内覧などのビジネス用途だけでなく,災害体験や教育など幅広い分野での利用が進められている.さらには,エンターテインメント向けのコンテンツも数多く配信され,日本でもVR専門のゲームセンターなどが出店されている.こういったあらかじめその用途で設計された場所での利用だけでなく,家庭用・個人用としてデザインされたコンテンツも複数登場してきているが,広く普及するには至っていない.その理由の一つとしてVR酔いが挙げられる.VR酔いは,VR空間における自身の視界の振る舞いと現実との不一致によって起こるといわれており,嘔吐感などの症状が発生することもある.さまざまな手法によってVR酔いを軽減しようという試みがなされているが,根本的な解決には至っていない.そこで本研究では,「優位眼」にフォーカスし,VR普及を妨げる要因の一つであるVR酔いを軽減する手法を考案した.