2018年10月20日の第101回月例発表会(M1)において,横田 雅樹(M1),西牧 佑哉(M1),井上 綺泉(M1),西村 閣晋(M1),中谷 要太(M1),木村 健太(M1),岩月 海人(M1)の7名が以下のタイトルで発表を行いました.

車両走行時の情報を用いたドライバーの認識状態の推定(横田 雅樹)

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近年,交通インフラを支える仕組みとして,安全性向上や利便性向上などを目的とした知的交通システム(ITS)の研究が進められている.それに伴い,様々なITSを用いた安全運転支援システムの研究も進められている.一方で,日本における交通事故にて,2016年度は年間3904人が亡くなっている.その中でも,移動状態別の分類では,歩行者の死者が1361人とトップとなっている1).つまり,特に都市の車両と歩行者が共存する道路や見通しの悪い道路においては,安全運転支援システムによって対歩行者交通事故を防止する必要がある。ほとんどの対歩行者交通事故は,人為的なミス,特にドライバーの知覚ミスや認識ミスに起因する.そのため,安全運転支援システムはドライバーよりも高度に歩行者の位置情報を認識する.そして,認識した情報をドライバーに提供することによって人為的なミスを防止する.しかしながら,現在の安全運転支援システムはドライバーの認識状態を考慮していない.ドライバーの認識状態を知ることができれば,それに応じてより効果的な情報提供の手法を検討することが可能となる.本研究では,ドライバーが車両を運転しているときに,道路を横切っている歩行者の認識状態の推定を行う.歩行者の認識状態とは「ドライバーが衝突する可能性のある歩行者を認識しているかどうか」を指す.ドライビングシミュレーションにより取得したデータを用いて,機械学習による推定を行い,その精度について検討を行う.

移動体の電波強度を利用した歩行者の位置精度向上手法(西牧 佑哉)

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近年,スマートフォンやタブレット端末の普及率の増加に伴い,それらの位置情報を用いた様々なサービスが利用されている.また近年,車車間通信や歩車間通信など,自動車の安全性や運転手の快適性の向上を目的とした知的交通システム(ITS:IntelligentTransportSystems)の研究が行われている.歩車間通信によって交通事故を減らすことを考えた場合,お互いの正確な位置情報が必要となる.こういったサービスやシステムで重要となる位置情報を取得する手法として位置測位システムがあり,その中で最もよく利用されているのがGPS(GlobalPositioningSystem)である.GPSの位置精度は数mから数十mであるが,都市部では,GPS信号が建物による遮断やマルチパスの影響を受け,位置誤差がさらに増大するという問題がある.そこで本研究では,ITSの発展によって今後,車車間通信や歩車間通信が普及していくことを踏まえ,ビーコン及び車両の電波強度を利用した屋外における歩行者の位置精度を向上させる手法を提案する.

ARを利用した複数視点からの物体指示手法(井上 綺泉)

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近年,スマートフォンを利用することにより複数人で位置の共有をする研究が多くなされている.例えば,道を案内するときは携帯端末のマップから得た位置情報の共有をし,それぞれが共有したい物体を認識することができる.しかし,共有したい物体の位置に表示する目印は携帯端末の画面上のみであるため,共有する物体を探す場合は実際の景観と携帯端末を交互に照らし合わせて見る問題点が生じる.そこで本研究では,二台のカメラを使用し,視差からカメラ画像に表示させるAR情報の位置を調節することによって複数人で物体を共有する手法を提案する.

OpenFlowを用いたロードバランシングによるマルチパス伝送手法の提案(西村 閣晋)

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インターネットを利用したアプリケーションの普及により,ネットワーク上のトラフィック量は年々増加しており,今後も増加していくことが予想されている.中でも動画共有サイトにおいて増加,高品質化しているインターネットビデオのTCPトラフィックはその大きな要因となっている1).そのため膨大な量のTCPトラフィックがある状況下でもアプリケーションが利用できるようネットワークの輻輳を抑制する仕組みが必要となっている.対策として挙げられるのがルーティングプロトコルの改善である.RIP2)やOSPF3)といった既存のルーティングプロトコルは経路の合計コストを最小化する単一の通信路を設けるシングルパスルーティングである.これらのルーティングプロトコルは様々な場所で利用されているが,最適経路であるシングルパス上のリンクやノードにトラフィックが集中する傾向があり輻輳のリスクが高まってしまう欠点がある.インターネットには最適経路以外にも宛先ノードに通じる冗長経路が存在しており最適経路だけでなく複数の経路を伝送に使用したマルチパスルーティングを用いることで,ネットワーク全体の使用率を上昇させることが輻輳の抑制に有効である.

ドローンの操縦者・管理者のなりすまし防止のための認証プラットフォームの提案(中谷 要太)

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近年,無人航空機(以下,ドローンと記す)の研究が盛んに行われている.ドローンはインフラ点検,災害調査などの産業用途や農業用途への活躍が期待されている.米Amazon.comではドローンによる配送サービス「AmazonPrimeAir」を発表している.顧客が注文した商品を30分以内にドローンに配達させるサービスである[1].今後,ドローンは多岐にわたる活躍をすることが予想される.しかし,墜落・衝突事故や空撮映像のプライバシーの問題など様々な問題を抱えている.その一つとしてドローンの操縦の乗っ取りである.2017年にはラスベガスで開催されたDEFCON(ハッキング会議)では,ポケットサイズのマイクロコンピュータを使用して,ワイヤレスキーボードからドローンの制御を乗っ取った事例が紹介されている[2].この事例では,ARMベースの組み込みシステムによってBluetooth経由でワイヤレスキーボードからの信号を盗聴し,ユーザーIDやパスワードなどの情報を入手する技術を応用して,マイクロコンピュータをドローンのコントローラに接続して,フライトコントローラを乗っ取った.このようにドローンの操縦者をなりすまし,ドローンを悪用する危険性がある.このような背景から,本研究はドローンの周辺情報とドローンのログ情報を用いて操縦者のなりすましを防ぐことを目的とし,ユーザー認証プラットフォームを構築する.

車両位置情報における信頼性保証の提案(木村 健太)

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車両にLiDAR等のセンサを搭載することでセンサに反応する範囲での周辺情報を得ることができる.しかし,センサに反応しない死角や距離のある場所の情報を得るためには他のシステムが手に入れた情報を入手する必要がある.そこで近年,路側機や車両,クラウドサーバと通信を行うことで情報を収集する,V2X通信の研究が盛んに行われている.実際に,自車両のセンサ情報だけ使用するのではなく,車車間通信や路車間通信を併用した場合,300m周辺の認識率が上がることは示されている[1].このことから,今後車両にとって通信は不可欠な要素となり,様々な対象との通信をすると推測される.しかし,通信で情報を共有していないモノに関しては情報の共有はできない.そのため通信を早期に導入した車両は十分に情報収集することはできない.この問題については通信情報にセンサで認識した物体の情報も付加し送信することで軽減できる.実際に,通信情報にセンサ情報を加えたEPMを採用した場合,死角に存在する障害物の発見が早まることが示されている[2].また,通信で入手した情報が信頼できるとは限らない問題も抱えている.ネットワークで共有されるデータに不正があった場合,命にかかわる大事故に繋がりかねない.そこで,本研究では共有されたデータのうち位置情報がどの程度信用できるかを評価するための手法について提案する.

セルラシステムと無線LANのハイブリット通信におけるトラフィックオフロード手法の提案と評価(岩月 海人)

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高機能端末の増加によりアプリケーションが必要としているデータ量も増加している.それによりLTE回線の利用がさらに増大していくことが予想され,人が集中するような場所や時間帯によっては回線が著しく混雑することが予想される.回線の混雑を回避するために各キャリアはLTEなどの携帯回線のトラフィックをWi-Fiなどへオフロードするという対策をとっている.携帯回線の周波数リソースが限られているということもあり,今後Wi-Fiなどの無線LANを活用する動きが活発化していくと考えられる.