2019年5月25日の第107回月例発表会(B4)において,中田 輝(B4),東山 絋樹(B4),細野 航平(B4),伊東 光一(B4),慶田 功一(B4),前田 綺咲(B4), 上原 夏紀(B4),中井 綾一(B4),平川 貴隆(B4),奥西 理貴(B4),林 聡一郎(B4),田中 佳輝(B4)の12名が以下のタイトルで発表を行いました.

仮想通貨を利用したダイナミックマップ時空間グリット売買による車両優先走行モデルの検討(中田 輝)

P1270830.jpg
近年,高度道路交通システム(ITS: Intelligent TransportSystems)の分野において研究が進められており,道路交通の安全性や快適性は日々進歩している.カメラやセンサなどの搭載された自動車では,周辺の環境を認識して走行することを可能にし,従来のGPSによる位置情報の把握という手法と比較しても,より多くの情報を得ることで安全性や快適性を高めている.また,これらの技術を利用し,各車両が得た車両周辺の動的な情報をクラウドへと送信し,道路や建物など静的な地図情報上に重ね合わせることでダイナミックマップを構築する研究も進められており,自動運転において重要な役割を果たすと期待されている.このダイナミックマップを利用することによって,自動運転車がこれから走行する経路の時間と空間を事前に予約し,他の車両を排除することで,よりスムーズな走行を可能にするという時空間グリッド予約システムの研究が進められている.しかし,この予約システムでは,時空間グリッドをある車両が予約していた場合,それ以降に予約をしたい車両は予約をすることができないので,予約をしている車両以外はこのシステムによって遅延の優位性を示すことができるとは言えない.そこで本研究では,仮想通貨を利用したダイナミックマップ時空間グリッド売買による車両優先走行モデルを検討する.

コネクテッドカーと非対応車両の混在状況における交差点通過時の安全性・効率の検討(東山 絋樹)

P1270831.jpg
近年,自動運転に関する研究が盛んで,2020年を目途に一部実用化される見込みがあり,これから徐々に普及していくと思われる.さらにV2X(Vehicle-to-everything)通信を利用することで,自車のセンサの検知可能範囲外となる死角や遠距離の情報を入手できるコネクテッドカーがある.自動運転技術と通信を組み合わせたコネクテッドカーにより,安全で効率的な交通を実現できることが期待されている.しかしながら,今後コネクテッドカーが発売されたとしても,普及するまでのしばらくの期間は通信機能を有しない非対応車両も一緒に走行している状況は避けられないことが想定される.こういった状況では,非対応車両の存在も考慮する必要がありコネクテッドカー同士の情報だけでは不十分である.そこで本研究では,コネクテッドカーと非対応車両が混在する交差点において,非優先道路側を走行するコネクテッドカーが交差点を通過する手法を提案し,シミュレーションによって安全性と効率を検討する.

エッジコンピューティングにおける協調型自動運転車とダイナミックマップとの通信手法に関する評価検討(細野 航平)

P1270829.jpg

近年の交通分野では,自動運転の研究が盛んに行われており,今後AIが全ての運転操作を担う自動運転車両が発売されることが予想される.そのため,車載センサにより走行環境を認識し,運転者への警告や運転支援を行う高度な安全運転支援システムや自動走行システムの研究・開発が加速している.それらの実現には車載センサーやAIの高度化だけでなく,交通状況に応じた予測運転を行うための情報インフラが必要となる.その一つが高度三次元地図に交通状況などを付加した「ダイナミックマップ」である.ダイナミックマップが車両と通信するトラフィックはますます増大し,データがクラウドに集中することによる通信帯域の逼迫やクラウドの高負荷,及び車両に対するデータ通信時の通信遅延の問題があり,通信の高速化が必要となる.そこで注目されているのが,より車両に近い位置にサーバやストレージを配備し,逐次解析などを行う「エッジコンピューティング」である.車両からのプローブデータなどとダイナミックマップからの情報をエッジで処理することでより高速に通信を行えるようになる.しかし,管轄エッジが異なる車両同士が通信をする際にはクラウドを介する必要があり,パケットロスや遅延の原因となりかねない.そこで本研究では,自車両付近の車両の情報を専用周波数を用いた車車間通信によって情報を統合して,エッジに送信し処理することでリアルタイム性と信頼性の向上を評価する.

ネットワーク仮想化を利用した階層型データの効率的配信手法の提案(伊東 光一)

P1270824.jpg
近年,動画やライブ配信を携帯端末で視聴する機会が増えている.それらは年々高画質化してきており,Wi-Fiや4Gではフレームレートや画質を落とさざるを得ない場面も見受けられる.また自動車も,車車間通信で周りの自動車と情報を共有する機会が増えていくと考えられる.ダイナミックマップを構成するためには低遅延かつ信頼性の高い通信システムが必要となる.ダイナミックマップにおける動的データから静的データまでの4階層に分けられたデータ[1]や,動画像データは階層型データに分類され,それぞれの層で重要性やデータ構造が異なる.本研究では,携帯端末・モビリティデバイスなどに向けて,ネットワーク仮想化を利用して階層型データを効率的に配信する手法を提案する.

色情報と文字情報を用いた看板認識手法の提案(慶田 功一)

P1270823.jpg
JNTO(日本政府観光局)によると,日本は外国人訪問者数が世界で12位,アジアでは中国,トルコ,タイに続き第4位であると発表された.また,観光庁が2018年に行ったアンケートでは,外国人観光客が訪日旅行の際に困ったことの第4位であった「多言語表示が少ない,わかりづらいこと」が問題として明らかになった.飲食店で,看板が識別できないと提供される料理やグルメサイトの評価などを知ることができない.しかし,看板の識別さえできれば店舗情報を手に入れることは容易である.したがって,本研究では看板にある文字情報と色情報から画像認識を使って看板の識別を行い,既存手法と比較してその有用性を確かめる.比較対象は,色や形の情報からの画像認識手法と文字情報のみからの画像認識手法とする.

ユーザの歩行動作と文字を入力した時の手の動きの特徴量を組み合わせた認証手法(前田 綺咲)

P1270821.jpg
近年,情報化社会の発展は目覚ましく,「情報戦争」という言葉が使われる通り,世界を相手にするためには,情報分野における優れた技術やアイデアだけでなく,情報を守る技術が必要不可欠である.その中で,各個人が有するネットワーク上でのIDとパスワード(アカウント)は複雑化する傾向にあり,その管理が煩雑になっている.世間で広く使用されているアカウント管理アプリでは,管理の際に使い捨てのワンタイムパスワードを発行することでセキュリティ強化に努める手法をとっているが,時に入力の手間や,攻撃によってワンタイムパスワードが流出してしまう問題が発生している.我々の生活において,個人認証技術は身近で欠かせないものとなっている.個人認証とは本人しか持ち得ない情報によって本人であることを証明する作業であり,所有物認証,知識認証,生体認証の三種類に分類できる.近年,不正に認証を突破する手口が高度となってきているため, これらの二種類または三種類を併用する多要素認証の導入が増加している.多要素認証にはセキュリティが大幅に向上するという利点があるが,認証の併用数に比例してユーザの操作負担や認証時間が増大するため,日常で頻繁に使用されるシステムへの導入は問題となる.このような現状を踏まえ,本研究では認証におけるユーザの操作負担の軽減とセキュリティ強化を目的とする.そのため,ユーザの歩行動作と文字を入力した時の手の動きの特徴量を組み合わせた認証手法を検討する.

UWBを用いた非GPS環境におけるドローンの位置測位(上原 夏紀)

P1270827.jpg
近年,小型無人航空機(ドローン)は玩具用から産業用へと応用分野を拡大し,災害救助や物資輸送,点検業務など様々な目的で利活用されており,今後も大きな発展が見込まれる.しかしながら,ドローンの応用分野が広がるにつれ,従来から飛行制御に用いられるセンサ,特に位置情報の取得に用いられるGPS(Global Positioning System)の問題が取り沙汰されるようになった.GPSは屋外環境においては一定の精度で測位が可能になる一方,屋内環境では測位精度が著しく低下する.よって現在,非GPS環境においてGPSの代替となるセンサを用いたドローンの自律飛行に関する研究が盛んに行われている.このような背景から,本研究は超広帯域無線通信方式(UWB:Ultra Wide Band)を用いて,非GPS環境におけるドローンの位置測位システムを構築する.

V2X通信における車両走行履歴のブロックチェーン化による位置情報偽装検知モデルの提案(中井 綾一)

P1270827.jpg

近年,自動運転やV2X(Vehicle to Everything)通信の研究が盛んに行われている.このV2X通信は,様々な方式で利用されており,車両の位置情報や周辺情報のリアルタイム処理を可能とする.しかし,現在V2X通信においてサイバーセキュリティに関する懸念がされている.自動運転の場合,V2X通信に従って,自動車が運転判断を行うことから,攻撃者が誤作動を起こさせたい場合には,V2X通信を使った偽装行為は極めて有効である.例えば,遠隔で車両を操作し,誤った位置情報を送信したとすると,車両同士の衝突などを引き起こすことができる.このように,車両の偽装行為は解決するべき問題となる.そこで本研究では,車両の偽装行為の中で位置情報の偽装に着目する.そして,暗号通貨であるビットコインに用いられ,ブロックチェーンを支える技術の1つであるProof ofWorkを参考にし,信号機やDSSS(安全運転システム)などの交通機器からの監視と車両間の相互監視から位置情報の偽装を検知する手法を提案する.

移動体通信におけるQUICのコネクションマイグレーションの評価(奥西 理貴)

P1270826.jpg
Quick UDP Internet Protocol (QUIC)は,Googleの開発している実験的なWeb向けのトランスポートプロトコルである.UDP上で動作し,独自の輻輳制御やTLSを流用した暗号化を行う[1].QUICは,コネクション確立の短縮化やHead-of-Line Blockingの解消によって,TCPよりもページ読み込み時間(Page Load Time,PLT)を短縮することが分かっている[2].またQUICは,コネクションマイグレーションという仕組みを持つ.これによって,接続先が変わってもコネクション再確立の必要がない.そのため,接続先の切り替えが頻繁に起こりうる移動体通信においては,TCPよりもPLTの向上が見込まれる.さらに,5G候補バンドのセル半径は約100mが限界だと想定されていることを踏まえると[3],5G通信での移動体通信においては,特定の地域にのみ配備された5Gバンドと既存バンドとを切り替えながら接続する状況が考えられる.本研究では,エンドポイントが接続中に移動することでコネクションが切り替わる状況を想定し,QUICのコネクションマイグレーションによってQUICでの接続とTCPでの接続の間にPLTの差が生じるか,シミュレーションによって評価する.

車両走行環境を考慮した自動運転(レベル3)段階的引き継ぎ要求の検討(林 聡一郎)

P1270826.jpg
近年,自動運転レベル2の自動車が多くのメーカーより販売されている.自動運転レベル2では,車線の逸脱を検知するとステアリングの補正を行うシステムや,先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするシステムがあるが,ドライバは常に道路の監視をして即座に制御できることが求められている1).現在では,自動運転レベル3に向けて,メーカーや技術者が自動化に向けて取り組んでいる.自動運転レベル3では,システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して,運転に関わる全ての制御するが,システムが動作限界に達した場合にドライバが引き継ぎ要求(TOR:Take OverRequest)に応答して制御を引き継ぐ必要がある1).自動運転レベル3の既存研究として,TORが発生する可能性がある横断歩道に近づいた際に,MR(MonitoringRequest)を発生させて警告音とマークで注意を促し,ドライバの視線を道路に向かせるMRを使用した段階的引き継ぎ要求を行う手法が研究された2).既存研究では,天候,時刻,路面状況といった車両走行環境が考慮されず,MRのタイミングも固定されている.そこで,本研究では,ドライビングシミュレータを用いて,MRを使用した段階的引き継ぎ要求を車両走行環境ごとに構築する.そして,車両走行環境を考慮した安全でドライバのストレスの少ないMRのタイミングについて検討する.

協調型自動運転による車線変更の効率化の検討(平川 貴隆)

P1270826.jpg
近年,自動運転に関する研究は盛んに行われている.自動運転は現在,大きく2つの種類に分けることができ,車両自体に備え付けられたセンサの情報から自律走行を行う自律型自動運転と,V2X(Vehicle-to-everything)通信による車車間通信を利用した,協調型自動運転がある.自律型自動運転は自車が持つセンサで走行ができるが,死角からの車両や,センサで検知範囲外の車両情報などが把握できない.そのため,協調型自動運転ではV2X通信を利用し,センサで検知できない範囲の情報を取得することで,複雑な交通事情でも自動運転での走行が可能になる.本研究では,渋滞,混雑の緩和を目的に,片側2車線道路において一方の車線が塞がれた際に行う,回避のための車線変更をより効率的に行うことができる手法を提案する.シミュレーションにて,交通量,障害物,速度ごとに協調パターンを検討し,その効率を評価する.

ハイブリッドネットワークを利用したV2X通信の仮想化による伝送効率化手(田中 佳輝)

P1270826.jpg
近年,高度道路交通システム(ITS:Intelligent TransportSystems)の分野において研究開発が活発に行われ,道路交通の安全性や利便性の向上が図られている.搭載されたセンサで得た情報を基に自律走行する車両やV2X(Vehicle-to-everything)通信を用いた協調型システムを実装した車両が登場している.車両同士で通信を行う車車間(V2V)通信,路側機と通信を行う路車間(V2I)通信,クラウドとの(V2N)通信など,V2X通信は自動運転の実現においても重要な役割を果たすと考えられる.車車間通信では,インフラ設備を必要としないネットワークとしてVANET(Vehicle Ad hoc NETwork)が注目されており,様々な方式で利用されている.しかし,V2X通信を行う車両が増加し,一定のエリアにおいて車両密度が高くなると,特に車車間通信における通信トラフィックが増え,衝突によるパケットロスや通信遅延が問題となることが予想される.通信遅延が起きることで運転者やシステムの判断が遅くなり,車両同士の衝突事故や人身事故などに繋がるため,遅延の少ない通信が必要不可欠である.そこで本研究では,セルラーネットワークと車車間通信を併用したハイブリッドネットワークにおいてV2X通信を仮想化し,自車両や周辺車両の走行状態情報に応じて車車間通信の通信範囲や送信周期を動的に変化させることで,通信の伝送効率を向上させる手法を提案する.