2019年10月23日の第111回月例発表会(M1)において,生駒 大志郎(M1),中川 凌(M1),廣辻 侑哉(M1),岸田 慎之介(M1),畑山 諒太(M1),岡村 俊樹(M1)の6名が以下のタイトルで発表を行いました.

ブロックチェーンにおけるProof of Workの51%攻撃対策手法の提案(生駒 大志郎)

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近年,暗号通貨は世界で流通し,どこにも中心を持たないP2P技術を用いた分散型の通貨として,また,法的通貨との交換価格の変動幅や交換所の破綻などの事件で注目を集めている.仮想通貨の代表としてビットコインが挙げられるが,ビットコインの実装を支えている技術がブロックチェーンである.ブロックチェーンは分散型取引台帳とも呼ばれ金融機関を介さず,ユーザ同士でシステムを管理しあう構造を取り,ブロックチェーンを支える技術である図1のように,報酬を得るためにマイナーが電力を消費し,計算することで新しいブロックを作成する技術である,Proof ofWorkによる改竄の困難性や非中央集権性から様々な分野での応用が期待されている.Proof of Workは改竄が困難ではあるが,電力消費量が多いことや51%攻撃というデメリットもある.そのため,近年は,Proof of Stakeという技術が台頭している.Proofof Stakeは,PCの計算量に比例して報酬が貰えるのではなく,暗号通貨の保有率に比例して報酬が貰える.これは,より多くの保有量を持つ人が自分が大量に持っている通貨の価値を下げるようなことはしないだろうという信頼のもと成立している仕組みであり,セキュリティ面においても電力面においても優れているとされている.しかしながら,Proof of Stakeは悪意のあるユーザにとって,改竄するメリットがないというだけで改竄は容易にできてしまう.利益を求めず改竄を行うユーザが現れる可能性を考えておらず,本当に安全であるとは言い難い.それに比べて,Proof of Workは,51%攻撃を除けば,事実上,改竄できないので,今後も必要となる技術であると考えられる.そこで,本研究では,Proof of Workの51%攻撃について改善することで堅牢なシステムを構築できると考えた.

車内での画面直視が起因となる車酔い緩和手法の提案(畑山 諒太)

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近年,自動運転に関する研究が盛んに行なわれいる.車が自動運転化されることにより,運転者は不要となり,車内環境は大幅に変わることが予想されている.そして,今まで必要だった運転者は一乗員となる.このことから,車内ではより自由な時間を過ごすことができるようになる.その結果,PC画面を注視する機会が増え,車酔いが増加されると予想される.走行している車内で人が画面を注視すると,内耳から脳に送られてくる信号と眼球から脳に送られてくる信号に不一致が生じ,脳が「異常」と判断し、自律神経が不安定になる.自律神経が不安定になった結果,吐き気や頭痛といった車酔いの症状が表れる.本研究では,車内でのPC画面の注視が起因となる車酔い緩和手法を提案する. PC利用者に車両前方風景をリアルタイムで提示する.さらに,車の右左折をPC利用者に点滅する色によって告知する.これらから,PC利用者は車の右左折で発生する揺れを把握することができ,運転者の旋回方向への頭部運動を再現することができる.先行研究から,運転者の旋回方向への頭部運動は車酔いの低減につながることが示されており,本提案手法によって,PC画面注視による車酔いの緩和が期待できる.検証方法は,被験者には提案手法を提示した場合としない場合で,車内でPC作業を行ってもらい2パターンとも同じ走行ルートを走行し,検証する.そして,唾液による評価,心拍数による評価と実験後車酔いに関するアンケートで定量評価を行い,提案手法の有用性を示す.

動的遮蔽物を考慮したビーコン情報のマルチホップによる屋内位置推定(中川 凌)

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近年,スマートフォンやタブレットなどモバイル端末の利用数が増加しており,モバイル端末上で利用できる様々なサービスがある.そういったサービスには位置情報を利用したものも多くある.現在,ユーザーが自身の位置情報を入手する方法として,GPS(Global Positioning System)を用いたサービスの利用が一般的である.しかし,屋内や地下といった場所では,GPS信号が届かないことがあり,そういったサービスが利用できないという問題がある.それに伴い,屋内における位置推定に関して多くの研究がなされている.屋内位置推定の手法として,Wi-Fi,BLE(Bluetooth LowEnergy)やスマートフォンなどのモバイル端末に搭載されたセンサなどを用いたものがある.これらの屋内位置推定は実用化に向けた開発が行われており,駅や空港,商業施設などでの利用が期待されている.本研究では,BLEビーコンを増やすのではなく,周囲のスマートフォンやタブレットといったモバイル端末を利用することで位置推定の精度の向上を図る.またその際に,人が複数いることを想定しているため,BLEの電波強度が人体の影響を受けることを考慮した手法を提案する.

端末通信と基地局通信を統合させたネットワークアーキテクチャの提案(岸田 慎之介)

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現在,携帯電話などの移動端末は基地局とネットワークを構築して通信を行っている.しかし,コネクテッドカーと呼ばれる常時ネットワークに接続している車両やIoT(Internet of Things)関連した製品やアプリ,対話型コミュニケーションも登場している.また,日本は世界有数の災害大国でもあり,大規模災害発生時において基地局が通信できない状況に備えて,移動端末間の直接通信の技術が重要となってくる.この技術については,携帯電話の通信について標準規格の仕様や検討を行っている3GPP(ThirdGeneration Partnership Project)において,LTE-AdvancedRelease 12で端末間(D2D : Device to Device)の直接通信が登場して以降,Release 14では携帯電話の通信を使用してV2X(Vehicle to Everything)通信を行うC-V2Xが規定された1).また,低電力で広範囲に通信することが可能なLPWA(Low Power Wide Area)が登場し,データを収集して送信を行うIoT向けの通信基盤などに使われつつある2).従来からある,BluetoothやWi-Fiを使ってノード同士が直接通信する機能もあるが,LPWAといった基地局と通信するネットワークとノード同士で通信するネットワークを統合したネットワークアーキテクチャはまだ確立されていない.本研究では,基地局を経由して通信を行うネットワークと,端末同士で通信を行うネットワークを統合させた,ネットワークアーキテクチャを提案する.特に,端末が密集している地域において,ネットワーク仮想化技術を利用して,電波の有効利用を図る.

ドローンにおける電波強度を用いた正規コントーラー判断手法の提案(廣辻 侑哉)

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近年,ドローンの普及が進んでおり,将来的には倉庫内での商品移動のためドローンなど様々な用途で使用されることが予測できる.そこで,ドローンの需要が個人利用から商業利用に移ってきたことで,ドローンのセキュリティー対策が重要視されている.セキュリティ対策には様々な観点のものがあり,一般社会法人のセキュアドローン協議会がセキュリティーガイドを作成している[2].そのガイドラインでドローンの制御を奪われる危険性について書かれている.もしドローンの制御が奪われれば,ドローンが危険な挙動をしたり,業務が滞る可能性がある.まず,ドローンはコントローラーと通信することでコントーラーに命令された移動をしようとする.しかしながら現在において,悪意を持ったコントローラーが通信を解析することで正規のコントローラーからドローンの制御を奪うことが可能である.そこで,本研究では電波強度を用いることでドローンが正規のコントローラーと悪意を持ったコントローラーを判断できるかを評価し,有効性を図る.

周辺環境と時間変化に基づく車両相互監視によるV2X通信なりすまし動的検知手法(岡村 俊樹)


近年,車両が通信を行うコネクテッドカーの研究が盛んに行われている.将来,車両は車両同士やクラウドをはじめとした様々な物との通信(V2X通信)を行うと言われており,様々なサービスが考えられている.その一方,コネクテッドカーのセキュリティの問題もある.コネクテッドカーへの攻撃方法は多数考えられているが,その中に悪意のある車両による「なりすまし」がある.ここでは,「なりすまし」とは,車両が故意にクラウドに不正データを送信することと定義する.具体的には,車両から偽装された走行情報や位置情報を送信することで交通に影響を与える.実際に,一般的に発生する程度の旅行情報増加を煽る虚偽情報でも,特定の経路に渋滞を誘発することができると報告されている.[4]この研究からもなりすまし行為は今後,コネクテッドカーが普及した社会で大きな問題となりうる.先行研究[3]ではこの「なりすまし」を,他車から得られる情報を基に対策を行なった.この手法では,なりすまし車両が位置情報を偽装しクラウドへ送信した場合を考え,当該車両がクラウドへ送信する情報と周辺車両の送信する情報との整合性をとることでなりすましを検知した.本研究では,この先行研究の欠点に注目した.