2021年2月4日の第123回月例発表会(B4)において,竹内 一真(B4),池田 仁(B4),山本 浩太郎(B4),杉本 涼輔(B4),殿村 茂天(B4),塚﨑 拓真(B4),山村 竜也(B4)の7名が以下のタイトルで発表を行いました.

  1. Pub/subメッセージングモデルによるセンサ情報処理の有効性検証(池田 仁)
  2. 3次元環境認識に基づく死角領域内のAR可視化によるドローン操縦性向上(竹内 一真)
  3. 走行環境を考慮した通信トラフィック制御のための車両情報の送信周期割当手法(山本 浩太郎)
  4. V2X通信における車両走行環境に基づく優先制御方式の検討(杉本 涼輔)
  5. V2V通信を用いた追い越しおよび停車車両の回避支援の有効性の検討(殿村 茂天)
  6. 移動環境におけるOpenFlowを用いた複数ネットワーク併用による通信品質向上(塚﨑 拓真)
  7. 車両位置相互監視に基づくなりすまし検知手法のロジスティック回帰分析による性能向上(山村 竜也)

Pub/subメッセージングモデルによるセンサ情報処理の有効性検証(池田 仁)

 近年,IoT(Internet of Things)や協調型自動運転技術の研究が進められている.IoTは,様々な種類のセンサを介して,取得した情報が直接インターネットを通して利用されている.IoTや協調型自動運転技術の発展とともに,センサから得られる情報量が多くなってきており,センサ情報処理技術の高いスケーラビリティが求められている.現在多くのシステムで用いられているクライアント/サーバモデルは,スケーラビリティが低く接続機器の増加によるパフォーマンスの低下という問題点があり,高速で動的なデータのセンサ情報処理に適していない.本稿では,スケーラビリティが高く,動的なネットワーク構成に対応可能なモデルであるPub/subメッセージングモデルをDDS(Dat Distribution Service)を用いて実装し,リアルタイム性の重要なセンサ情報処理に対する有効性を検証する.

3次元環境認識に基づく死角領域内のAR可視化によるドローン操縦性向上(竹内 一真)

 近年,多方面でのドローンを活用した事業が進出しており,中でも小型ドローンは小さな機体を活かして,人が入れない狭小空間での活躍の場も増えることが考えられる.しかし,狭小空間でのドローンの飛行は遮蔽物が多く,遮られた視点からの操縦を必要とし操縦は困難な場合がある.オンボードカメラ搭載のドローンを使用する場合では,安全な距離から狭小空間を探索することができるが,ドローン視点の操縦では前方以外の死角が多くなり,状況認識が不十分である欠点がある.そこでAR(Augmented Reality)を用いて死角領域を可視化することで,操縦者視点での操縦を行える.しかし,操縦者視点での操縦を実現する上で,障害物までの距離感を掴めない懸念がある.そこで本研究では,操縦者の死角領域内を可視化し,ドローン近傍の障害物を検知するAR方式を提案することで,操縦者がどのような情報によって,安全にドローンを操縦できるかを検討する.

走行環境を考慮した通信トラフィック制御のための車両情報の送信周期割当手法(山本 浩太郎)

 近年,自動運転車両に搭載されたセンサ情報を無線通信経由で共有し安全性と効率を目指した協調型自動運転の研究が始まっている.さらに,共有したセンサ情報を管理してアプリケーションを実行するための情報通信プラットフォームであるダイナミックマップが検討されている.ダイナミックマップを構築しているクラウドに都市の広大な領域から上がってくる大規模なデータが集約されるとネットワーク負荷増大が問題となるため,通信トラフィックの低減が必要である.また,安全な自動走行にはダイナミックマップに反映される交通環境を実際の交通環境に近づけることが重要であるため,ダイナミックマップの効率的な更新が必要である.本研究では,ダイナミックマップのデータを利用することで走行環境を考慮し,車両情報を送信する周期を各車両に割り当てる手法により,通信トラフィックの低減とダイナミックマップの効率的更新について評価することを目的とする.

V2X通信における車両走行環境に基づく優先制御方式の検討(杉本 涼輔)

 近年,V2X(Vehicle-to-Everything)通信を利用して自動車が自車両の位置や速度などの情報を100msごとに周囲と共有し,安全な交通を実現する安全メッセージ(safety message)についての研究が多く行われている.しかし,混雑状況下においてメッセージの到達率や通信遅延が劣化するという問題があり,中でも安全メッセージの到達率が低下し,メッセージが非到達となった場合,実質的に100ms以上の通信遅延と同義となるため,車両同士の衝突などの重大な事故の危険性が増大する可能性が考えられる.そこで本研究では,各車両が受信メッセージから周囲車両の位置や速度といった車両走行環境を把握し,アプリケーション層でその車両走行環境に基づき推測した自車両の危険性に応じた優先度を安全メッセージに設定,そしてMAC層にてこの優先度に応じたEDCA(Enhanced Distributed Channel Access)による優先制御を行い,安全メッセージの到達率を改善する方式ついて検討する.

 V2V通信を用いた追い越しおよび停車車両の回避支援の有効性の検討(殿村 茂天)

 近年,自動運転の実用化に向けてV2V(Vehicle to Vehicle)通信の研究がされている.車両同士が通信を行うことで,車両単体のセンシング技術だけでは認知できなかった死角の車を検知できるようになる.そのため,事故が起こる可能性を減らすことができ,安全に走行できるようになる.また,運転支援システムが市場に導入されており,ドライバーは安心して運転できるようになっている.運転支援システムには追い越し支援が存在する.追い越しは危険なタスクの1つとされている.特に,追い越しを行う際に対向車線にはみ出す必要のある片側1車線道路では非常に危険性が高くなるそのため,追い越しを行う際にドライバーに認知・判断の支援をする必要がある.しかし,追い越し支援は対向車線のことを考慮しておらず、一般道路では使用出来ない.そこで本研究では,追い越しを行う際に対向車線にはみ出して走行する必要のある片側1車線の一般道路に着目し,V2V通信を用いて,追い越しが必要なドライバーに認知・判断の支援を行う手法を提案する.そして,実験協力者にドライビングシミュレータによって運転をしてもらい,その運転ログとアンケートから支援の有効性の検討を行う.

移動環境におけるOpenFlowを用いた複数ネットワーク併用による通信品質向上(塚﨑 拓真)

 近年,携帯回線やWi-Fiなどの無線通信技術の高速化の研究が盛んに行われている.携帯回線は,広域なエリアで高速通信を行うことができる.しかし,問題点として2つ挙げられる.1つ目は,送信ノードと受信ノードが近距離に位置していたとしても,基地局を介して通信が行われるため,通信遅延が大きくなる点である.2つ目は,低帯域になるにつれて,通信速度が遅くなり,通信遅延も大きくなる点である.また,アドホックネットワークは通信機能を有する携帯端末などのノードによって,場所を選ばずノードが集まった時点で即座にネットワークの構築をすることができる.このため,近距離では直接通信が行われ,通信速度が速く,低遅延で通信を行うことができる.しかし,送信ノードと受信ノード間の距離が大きい際は,その間にあるノードを中継して,マルチホップ通信が行われる.このため,送受信ノード間の距離が大きくなると,通信速度は遅くなり,通信遅延も大きくなる問題点がある.また,モバイルノードの経路変更により,モバイルノード間の距離が通信可能範囲を超え,通信が可能でない状況になることも想定される.そこで,携帯回線とアドホックネットワークを併用することで,より高速で低遅延な通信を行う.しかし,前述したように,送受信ノード間距離やネットワークの帯域によって問題点があるため,状況に応じたネットワーク利用比率の切替えを考慮しなければならない.本研究では,モバイルノードの動的情報から通信品質を考慮し,ネットワークの利用比率を変更する手法を提案する.

車両位置相互監視に基づくなりすまし検知手法のロジスティック回帰分析による性能向上(山村 竜也)

 近年,コネクテッドカーと呼ばれる通信できる車両が研究されている.車両は周囲の車両,路側機と通信ができることに加え,携帯回線を用いたクラウドとの通信も可能である.クラウドではそれらのデータを統合することで,動的でリアルタイムなマップを作成し,ドライバに安全運転支援サービスを提供できる.一方で,車載ネットワークや車車間通信へのなりすましが存在する.なお,「なりすまし」とは車両が故意に偽装した不正なデータを送信することである.車両が故意になりすました位置データをクラウドに送信することで,交通渋滞や事故を誘発できるので,不適切なデータがクラウドを用いたサービスに与える影響を考慮し,対策する必要がある.そこで本研究では,なりすましの中でも位置データのなりすましに着目し,検知する手法としてロジスティック回帰分析を用いた手法を提案する.