2021年4月10日の第126回月例発表会(M1)において,池田 仁(M1),杉本 涼輔(M1),竹内 一真(M1),塚﨑 拓真(M1),山本 浩太郎(M1)の5名が以下のタイトルで発表を行いました.

  1. Pub/sub メッセージングモデルによるセンサ情報処理の有効性検証
    (池田 仁)
  2. V2V 通信における車両走行環境に基づく優先制御方式の検討(杉本 涼輔)
  3. 3 次元環境認識に基づく死角領域内の AR 可視化によるドローン操縦性向上(竹内 一真)
  4. 移動環境における OpenFlow を用いた複数ネットワーク併用による通信品質向上(塚崎 拓真)
  5. 走行環境を考慮した通信トラフィック制御のための車両情報の送信周期割当手法(山本 浩太郎)

Pub/sub メッセージングモデルによるセンサ情報処理の有効性検証(池田 仁)


近年,IoT(Internet of Things)や協調型自動運転技術の研究が進められている.IoTは,様々な種類のセンサを介して,取得した情報が直接インターネットを通して利用されている.IoTや協調型自動運転技術の発展とともに,センサから得られる情報量が多くなってきており,センサ情報処理技術の高いスケーラビリティが求められている.現在多くのシステムで用いられているクライアント/サーバモデルは,スケーラビリティが低く接続機器の増加によるパフォーマンスの低下という問題点があり,高速で動的なデータのセンサ情報処理に適していない.本稿では,スケーラビリティが高く,動的なネットワーク構成に対応可能なモデルであるPub/subメッセージングモデルをDDS(Dat Distribution Service)を用いて実装し,リアルタイム性の重要なセンサ情報処理に対する有効性を検証する.

V2V 通信における車両走行環境に基づく優先制御方式の検討(杉本 涼輔)


 近年,V2X(Vehicle-to-Everything)通信を利用して自動車が自車両の位置や速度などの情報を100msごとに周囲と共有し,安全な交通を実現する安全メッセージ(safetymessage)についての研究が多く行われている.しかし,混雑状況下においてメッセージの到達率や通信遅延が劣化するという問題があり,中でも安全メッセージの到達率が低下し,メッセージが非到達となった場合,実質的に100ms以上の通信遅延と同義となるため,車両同士の衝突などの重大な事故の危険性が増大する可能性が考えられる.そこで本研究では,各車両が受信メッセージから周囲車両の位置や速度といった車両走行環境を把握し,アプリケーション層でその車両走行環境に基づき推測した自車両の危険性に応じた優先度を安全メッセージに設定,そしてMAC層にてこの優先度に応じたEDCA(Enhanced Distributed Channel Access)による優先制御を行い,安全メッセージの到達率を改善する方式ついて検討する.

3 次元環境認識に基づく死角領域内の AR 可視化によるドローン操縦性向上(竹内 一真)


近年,多方面でのドローンを活用した事業が進出しており,中でも小型ドローンは小さな機体を活かして,人が入れない狭小空間での活躍の場も増えることが考えられる.しかし,狭小空間でのドローンの飛行は遮蔽物が多く,遮られた視点からの操縦を必要とし操縦は困難な場合がある.オンボードカメラ搭載のドローンを使用する場合では,安全な距離から狭小空間を探索することができるが,ド ローン視点の操縦では前方以外の死角が多くなり,状況認識が不十分である欠点がある.そこでAR(Augmented Reality)を用いて死角領域を可視化することで,操縦者視点での操縦を行える.しかし,操縦者視点での操縦を実現する上で,障害物までの距離感を掴めない懸念がある.そこで本研究では,操縦者の死角領域内を可視化し,ドローン近傍の障害物を検知するAR方式を提案することで,操縦者がどのような情報によって,安全にドローンを操縦できるかを検討する.

移動環境における OpenFlow を用いた複数ネットワーク併用による通信品質向上(塚崎 拓真)


近年,ITS(IntelligentTransportSystems)において,安全性や利便性の向上た近年,携帯回線やWi-Fiなどの無線通信技術の高速化の 研究が盛んに行われている. 携帯回線は,広域なエリアで高速通信を行うことができ る.しかし,問題点として2つ挙げられる.1つ目は,送 信ノードと受信ノードが近距離に位置していたとしても, 基地局を介して通信が行われるため,通信遅延が大きくな る点である.2つ目は,低帯域になるにつれて,通信速度 が遅くなり,通信遅延も大きくなる点である. また,アドホックネットワークは通信機能を有する携 帯端末などのノードによって,場所を選ばずノードが集 まった時点で即座にネットワークの構築をすることができ る.このため,近距離では直接通信が行われ,通信速度 が速く,低遅延で通信を行うことができる.しかし,送信 ノードと受信ノード間の距離が大きい際は,その間にある ノードを中継して,マルチホップ通信が行われる.このた め,送受信ノード間の距離が大きくなると,通信速度は遅 くなり,通信遅延も大きくなる問題点がある.また,モバ イルノードの経路変更により,モバイルノード間の距離が 通信可能範囲を超え,通信が可能でない状況になることも 想定される. そこで,携帯回線とアドホックネットワークを併用する ことで,より高速で低遅延な通信を行う.しかし,前述した ように,送受信ノード間距離やネットワークの帯域によっ て問題点があるため,状況に応じたネットワーク利用比率 の切替えを考慮しなければならない.本研究では,モバイ ルノードの動的情報から通信品質を考慮し,ネットワーク の利用比率を変更する手法を提案する.

走行環境を考慮した通信トラフィック制御のための車両情報の送信周期割当手法(山本 浩太郎)


近年,自動運転車両に搭載されたセンサ情報を無線通信 経由で共有し安全性と効率を目指した協調型自動運転の研 究が始まっている.さらに,共有したセンサ情報を管理 してアプリケーションを実行するための情報通信プラット フォームであるダイナミックマップが検討されている. ダイナミックマップを構築しているクラウドに都市の広 大な領域から上がってくる大規模なデータが集約されると ネットワーク負荷増大が問題となるため,通信トラフィッ クの低減が必要である.また,安全な自動走行にはダイナ ミックマップに反映される交通環境を実際の交通環境に近 づけることが重要であるため,ダイナミックマップの効率 的な更新が必要である.本研究では,ダイナミックマップ のデータを利用することで走行環境を考慮し,車両情報を 送信する周期を各車両に割り当てる手法により,通信トラ フィックの低減とダイナミックマップの効率的更新につい て評価することを目的とする.