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第177回月例発表会(B4)

2026-05-11

こんにちは,広報の馬渕(M1)です.

2026年5月11日の第177回月例発表会(B4)において,寺崎 善吉,佐竹 優真,岩本 和樹,坂田 幸稔,古米 遼成,中村 颯太郎の6名が以下のタイトルで発表を行いました.

VANETs における複数ウィンドウサイズと代表統計量を用いたシビル攻撃検知手法の提案 (寺崎 善吉)

20260511 ZTerasaki

近年,自動運転技術の発展により,車両同士が情報を交換する VANETs(Vehicular Ad Hoc Networks)が注目されている.VANETs では,各車両が位置,速度,加速度などを含む BSM(Basic Safety Message) を周囲へ送信することで道路状況の把握や安全運転支援を行う.しかし,不特定多数と無線通信するという性質上,攻撃車両による偽情報やなりすまし攻撃の危険性が存在する.VANETs における代表的な攻撃の一つにシビル攻撃がある.シビル攻撃では,1 台の攻撃車両が複数の偽車両を生成し,周囲の正常車両に対して実際には存在しない車両が存在するように見せかける.これによって,正常車両は渋滞や危険状況を誤認し,走行判断に影響を受ける可能性がある.そのため,攻撃車両と偽車両の検知は重要な課題である.本研究では,VANETs のうち車両同士が直接通信を行う V2V 通信を対象とし,複数ウィンドウサイズと代表統計量を用いたシビル攻撃検知手法を提案する.ウィンドウサイズとは,時系列順に並んだ BSM から特徴量を算出する際に,一度に参照する連続した BSM の個数である.提案手法では,各ウィンドウサイズから得られる特徴量と保持している BSM 全体から算出した平均,分散,最大値,最小値などの代表統計量を組み合わせることで,短期的な挙動変化と全体的な挙動傾向を考慮した 3 クラス分類を行う.これにより,走行環境の違いに対して頑健なシビル攻撃検知の実現を目指す.

非通信 NHV の能動的誘導を伴う中央制御型時空間グリッド予約による高速道路合流部制御手法の提案 (佐竹 優真)

20260511 YSatake

自動運転技術(AD)および協調型自動運転(CAD)の進展により,車車間・路車間通信を用いた交通流最適化が期待されている.特に,高速道路の合流部などのボトルネック箇所では,本線車両と合流車両の相互干渉により交通流の乱れが発生しやすく,交通容量が急激に低下するキャパシティドロップの主因となっている.これに対し,道路空間を時間軸と空間軸のマス目で管理する時空間グリッド予約手法が提案されている.しかし,既存手法の多くは,通信機能を持つ自動運転車(以下,CAV)間の調停,あるいは CAV が既存の伱間を効率的に利用する手法に特化している.通信機能を持たない手動運転車両(以下,NHV:Non-connected Human-driven Vehicle)と通信車両の混在環境における走行調停に関する研究では,手動運転車両が規則的な軌道で走行することを前提に,通信車両の走行調停を行う研究がある.しかし,実環境において不規則な軌道で走行する可能性がある手動運転車両を考慮できていない.このため,高密度環境下で自然な車間距離(伱間)が消失した状況下では,合流車両が本線手前で減速・停止を余儀なくされ,深刻な渋滞を引き起こす課題がある.本研究の目的は,NHV からの通信に一切頼らず,路側センサで検知した NHV の動作を CAV が制限することで,予め定めた走行軌道を維持するための走行調停手法を提案する.これにより,合流車の走行軌道を維持できるため,走行効率の向上が期待できる.

UAV の充電を考慮した自律飛行計画手法の提案 (岩本 和樹)

20260511 Kiwamoto

無人航空機(UAV)は,災害時の情報収集や緊急時の空中基地局,ラストマイルの配送手段として期待され,労力やリスクを大幅に削減する可能性を秘めている.しかし,自律制御を行う UAV はバッテリーの消費が激しく,エネルギーの制約からその用途が制限される.この問題に対し,強化学習を用いて充電を考慮した経路生成を行う手法が提案されているが,リアルタイムで強化学習を行い,経路計画を行おうとすると,数千エピソードを学習する必要があり,計算のために,大量に電力を消費することになる. さらに,実際の飛行環境では禁止エリアが動的に変化することや,消費電力量が一定ではない場合があり,既存手法ではこのような環境変化に対応した自律的な経路計画が困難である.そこで本研究では,動的に変化する禁止エリアを考慮した環境において,UAV が自律的にバッテリーマネジメントを行いながら適切な経路を計画できる手法を提案する.既存の手法に,直近の消費電力量および最近傍の禁止エリアの座標を状態入力に加えることでバッテリー消費量の予測が困難になる状況にも対処できることを目的とする.

視覚・聴覚アプローチの融合による無信号横断歩道の歩行者横断判断支援システムの提案 (坂田 幸稔)

20260511 YSakata

無信号交差点における歩行者の安全確保は,交通事故低減に向けた重要な課題である.特に, 路上駐車車両などの遮蔽物が存在する環境では,歩行者から接近車両が見えず,横断判断が困難になるケースが多い.従来の eHMI は車体にディスプレイを設置する形態が主流だが,遮蔽物によって情報が遮られる限界が指摘されている.本研究では,路面投影による仮想横断レーンと,車線ごとに音域を分けた聴覚的ガイダンスを融合した歩行者に対しての支援システムを提案する.これにより,遮蔽物の有無に関わらず,歩行者が直感的に安全な方向と危険なゾーンを識別できる環境の実現を目指す.

通信帯域適応型 V2V/V2N ハイブリッド経路制御の提案 (古米 遼成)

20260511 RFurumai

近年,自動運転の安全性向上を目的として,V2X 通信を用いて死角の物標情報を共有する協調認知サービス(CPS)の研究が進んでいる.総務省の自動運転・ITS の通信インフラに関する取組においても,5.9GHz 帯の V2X 通信と V2N(セルラー網)通信の相互補完的な活用が自動運転の社会実装に向けた重要なインフラ基盤として位置づけられている.しかし,高車両密度環境下では,各車両が送信する協調認識メッセージ(CPM)の増大により通信帯域が逼迫し,パケット衝突による高重要度情報の欠落が課題となっている.この課題の解決策として帯域逼迫が発生してから対処する反応型制御があるが,これは急激な変動に対して制御が間に合わず,通信品質の劣化を招く恐れがある.さらに,情報を一律に削除することは,ネットワーク全体の協調認識の精度を低下させる要因ともなり得る.そこで本研究では,高車両密度環境下における通信信頼性の確保と周辺物標情報の認識率向上を目的とし,路側機(RSU)による交通流観測に基づいた通信帯域適応型 V2V/V2N ハイブリッド経路制御を提案する.具体的には,RSU が予測したチャネル混雑度(CBR)に基づき,通信環境を通常・警戒・逼迫の 3 段階に定義し,情報の重要度に応じて送信経路に選択する.低重要度情報を V2N へ適応的にオフロードすることで V2V 帯域の逼迫を未然に防ぎ,高重要度情報のためのリソースを確保する.帯域逼迫時には V2V に加え V2N へ二重送信することで,高重要度情報の到達信頼性を最大化する.

出会い頭事故を対象とした協調認識における通信性能がドライバーの回避行動に与える影響の評価 (中村 颯太郎)

20260511 SNakamura

近年,自動運転および運転支援技術の発展に伴い,路側機と車両が通信を行う V2I(Vehicle to Infrastructure)通信を活用した安全支援システムの研究が進められている.国土交通省によると,令和 6 年に発生した交通事故のうち,出会い頭事故は 25% を占めており,特に無信号交差点で多く発生している.このような事故は,建物などによる視界遮蔽の影響により,ドライバーが歩行者や二輪車を十分に認知できないことが要因の一つと考えられる.この問題に対して,路側機が歩行者や二輪車を検知し,V2I 通信を用いて車両へ危険情報を通知することで,事故回避を支援する研究が進められている.しかし,見通しの悪い無信号交差点では,遮蔽物や通信環境の影響により通信遅延やパケットロスが発生する可能性があり,危険情報の到達遅延によってドライバーの回避行動に影響を与えることが懸念される.特に回避可能時間が短い環境では,わずかな通信性能の低下でも安全性へ大きな影響を及ぼす可能性がある.そこで本研究では,Unity を用いたドライビングシミュレータ環境により,見通しの悪い無信号交差点を再現する.そして,通信遅延を主な評価主評とし,パケットロスが発生する状況において,ドライバーの回避行動,衝突発生率,およびヒヤリハット発生率を評価し,V2I 通信における通信性能が安全性へ与える影響を検討する.なお,本研究におけるヒヤリハットとは,衝突には至らないものの,急減速などの回避行動が発生した危険な状態を指す.

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