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第180回月例発表会(B4夏合宿中間発表)

2026-08-17

2026年8月17日にびわ湖リトリートセンターで開催された第180回月例発表会(夏合宿)においてB4の7名、古米 遼成、宮本 渉、坂田 幸稔、佐竹 優真、岩本 和樹、中村 颯太郎、寺崎 善吉が研究発表を行いました。

協調認識のための交通流予測に基づく帯域適応型 V2X ハイブリッド経路制御方式の検討(古米 遼成)

20260817 RFurumai
総務省は 2030 年代に自動運転サービスを全国へ展開する方針を示しており,自動運転車両の安全性向上に向けて,車載センサで取得した周辺物標情報を Collective Perception Message(CPM)として共有する協調認識が注目されている.CPM の主経路である Vehicle-to-Vehicle(V2V)は低遅延かつ 1 回の送信で多くの車両に情報が共有できる一方,帯域の混雑度を表す Channel Busy Ratio(CBR)が高い場合にパケット衝突が急増する性質を持つ.Multi-access Edge Computing(MEC)を介した Vehicle-to-Network-to-Vehicle(V2N2V)経路も低遅延で CPM 共有の補完経路として注目されているが,通信が 1 対 1 という性質上,Downlink(DL)負荷が受信車両数に応じて倍増する.本研究では V2V と V2N2V を併用し,冗長性緩和手法である Redundancy Mitigation Rule(RMR)を組み合わせることで,帯域混雑環境においても安全な協調認識が実現できるかを検討する.

QUIC を用いた V-PCC 動的点群データの価値認識型リアルタイム伝送制御手法の提案(宮本 渉)

20260817 AMiyamoto
近年,ボリュメトリックビデオが注目され,VR や AR などへの応用が期待されている.その代表的な表現形式である点群はデータ量が大きく,実時間配信には高い通信速度と低遅延での送信が求められる.MPEG が標準化した V-PCC(Video-based Point Cloud Compression)は,3D 点群を平面へ投影し,占有マップ,幾何,属性の 3 種類の 2D 動画へ変換したうえで,HEVC などで圧縮する方式である.占有マップは点の有無を,幾何は奥行きを,属性は色を表す.点群の実時間配信では,通信速度に合わせた複数ビットレート版を事前に生成・保存する必要があり,計算量とストレージの負荷が大きい.さらに,V-PCC を用いる場合には,ビットストリームの欠損に弱く,再送を前提とする配信では遅延が増大しやすいという問題も加わる.一方で,欠損による影響はビットストリームの各部分で一様ではなく,占有マップや幾何は欠損すると形状が崩れるのに対し,属性などは欠損しても影響が小さい.このような欠損による影響の違いを利用することで,単一エンコードのまま通信速度の変化に合わせて配信でき,再送して確実に届ける部分と,再送しない部分を使い分けることで遅延を抑えられる.この使い分けには,再送を行う QUIC Stream と再送を行わない QUIC DATAGRAM を同一接続上で併用できる QUIC が適している.そこで本研究では,ビットストリームの各部分に価値を付与し,QUIC を用いて,価値に応じて伝送方式を選択する価値認識型リアルタイム伝送制御手法を提案することで,点群品質を維持しつつ通信速度の変動下でも低遅延に V-PCC を配信することを目指す.

自動運転車の歩行者への譲渡対象明確化に向けた複合的意図提示手法の有効性検証(坂田 幸稔)

20260817 YSakata
完全自動運転車の実用化に向けた動きが加速する中, ドライバー不在の車両と歩行者間におけるコミュニケーションの欠如が大きな懸念事項となっている. これまでドライバーがアイコンタクトなどで行っていた「道を譲る」といった意図伝達をシステムで代替し, 歩行者の安全と安心を担保する手段として, 自動運転車の意図を歩行者に伝える eHMI(External Human-Machine Interface)の研究が盛んに行われている. しかし, 既存の eHMI 手法の多くは,「どの車が発信しているか」は明確でも, 「誰に対して譲っているのか」という譲渡対象が曖昧な設計となっている. 車両側の譲渡意図が意図しない別の歩行者に誤認された場合,予期せぬ飛び出し等による重大な事故のリスクが増大することが示唆されている. すなわち、この宛先の明確化の解決こそが, 安全な交通社会を実現するための重要な課題である.本研究では視覚的な eHMI 単独の提示にとどまらず, 歩行者のデバイスを活用した複合的意図提示手法を提案する.視覚情報に加え, デバイスを介した歩行者個人への直接的な通知を組み合わせることで, 他者との誤認リスクを排除する. これにより, 複数歩行者・複数車両が混在する複雑な環境下であっても、歩行者が直感的に自分宛ての譲渡意図であると認識できる次世代のインターフェースの構築を目指す.

NHV 混在環境下における解析的軌道計画と雁行フォーメーションによる高速道路合流部制御手法の提案(佐竹 優真)

20260817 YSatake
自動運転技術および協調型自動運転の進展により,車車間・路車間通信を用いた交通流最適化が期待されている.特に,高速道路の合流部などのボトルネック箇所では,本線車両と合流車両の相互干渉により交通流の乱れが発生しやすく,交通容量が低下するキャパシティドロップの主因となっている.これに対し,通信機能を持たない手動運転車両(以下,NHV:Non-connected Human-driven Vehicle)と通信機能を持つ自動運転車両(以下,CAV)の混在環境における走行調停では,深層マルチエージェント強化学習(MADRL)や仮想車両マッピング等を用いた手法が提案されている.しかし,これらの研究は NHV が規則的な軌道で走行することを前提としているか,あるいはデータ駆動型の確率的最適化に依存しているため,実環境において強引な車線変更など予測不能な動きをする NHV に対し,最悪ケースを想定した絶対的な安全性を数理的に担保することが困難である.このため,高密度環境下で自然な伱間が消失した状況下では,合流車両が本線手前で減速・停止を余儀なくされ,さらに CAV の伱間創出挙動が後続の NHV に急制動を誘発して渋滞を引き起こす課題がある.本研究の目的は,NHV からの通信に依存しない協調合流制御手法を提案し,混在交通下におけるキャパシティドロップを改善することである.提案手法では,路側センサで検知した情報に基づき,本線を走行する CAV 群が連携して物理的遮蔽を行う雁行フォーメーションを形成し,NHVの不規則な割り込み動作を物理的に制限する.さらに,運動学モデルに基づく加減速制御を組み合わせることで,後続交通に急制動を波及させることなく安全な合流空間を創出・保護し,交通流全体の安全性と走行効率の向上を目指す.

都市ドローン運行における風予測誤差を考慮したエネルギー効率的経路計画手法(岩本 和樹)

20260817 KIwamoto
ドローンは配送をはじめとする都市での活用が広がりつつあるが,飛行距離はバッテリーにより制約されるため,効率的な経路計画によるエネルギー消費の削減が重要な課題である.現在の都市向け経路計画の多くは,コンピュータで流体の動きをシミュレーションする手法であるCFD(Computational Fluid Dynamics) による事前予測を真値とみなして経路を決定しているが,実際には都市 CFD の予測には平均風速で 8~10% の誤差がある.そのため,経路計画において CFD 予測を確定値として扱うと,予測が外れた場合にエネルギー超過が起きるという課題がある.一方,ドローン自身のセンサーにより飛行中に機体近傍の風をリアルタイムに推定する技術は実用水準に達しており,観測に基づいて飛行中に経路を変更する研究も存在する.しかし,CFD による事前予測と飛行中の観測を組み合わせて都市環境で経路を変更する手法は提案されていない.そこで本研究では,CFD 予測と飛行中の観測を組み合わせた経路計画を提案する.各交差点で観測を行った場合に得られるエネルギー削減の期待値を情報価値 (Value of Information: VOI) として定義し,観測が有効に働く交差点を通る経路を事前に選択する.

副次課題のキー入力頻度に基づく警告音テンポの適応制御アルゴリズムの提案(中村 颯太郎)

20260817 SNakamura
近年、先進運転支援システムの高度化に伴い、特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実行する「レベル 3 自動運転技術」の実用化が進んでいる。レベル 2 以下の運転支援では運転の主体が人間であるのに対し、レベル 3 以上ではシステムへと遷移する。特にレベル 3 は、システムが自動運転を実施するものの、作動継続が困難となった場合には人間が即座に運転操作を引き継ぐ必要があるという過渡期的な特徴を持つ。この運転交代要請(TOR: Take Over Request)の発生時、自動運転モード作動中であったドライバーは車外の監視義務から解放されているため、スマートフォン操作等の「副次課題に従事している可能性が高い。しかしながら、副次課題への傾倒によって注意が車外から完全に離脱している状態において TOR が発令された場合、ドライバーの認知遅れや急な手動介入による事故リスクが強く懸念されている。この課題に対し、危険度の高まりに応じて段階的にアラートを変化させる「段階的警報」の有効性が期待されている。しかし、警報を受容したドライバーがどのタイミングで手動運転へ復帰し適切な回避行動をとるかは、個人の「リスク認知特性」や「NDRT 従事時の認知的・視覚的負荷状態」に大きく依存する。本研究では、個人の潜在的なリスク選好性を評価する心理実験タスクである BART(Balloon Analog Risk Task)と、視覚的・認知的負荷を標準化して付与する SuRT(Surrogate Reference Task)、および実験条件を高精度に制御可能な 2D ドライビングシミュレータを統合した実験系を提案する。本実験系を用いて、ドライバー個人のリスク認知特性および認知的負荷状態が段階的警報への対応行動に与える影響を定量的に解明することを目的とする。

V2X 通信セキュリティ強化のための複数タイムウィンドウと代表統計量によるシビル攻撃検知手法の提案(寺崎 善吉)

20260817 ZTerasaki
近年,自動運転技術の発展により,車両が周囲の車両や道路インフラと情報を交換する V2X(Vehicle-to-Everything)通信が注目されている.V2X 通信では,各車両が CAM(Cooperative Awareness Message)を周囲へ送信することで,道路状況の把握や安全運転支援を可能にする.しかし,不特定多数と無線通信するという性質上,攻撃車両による偽情報の送信や,なりすまし攻撃の危険性が存在する.V2X 通信における代表的な攻撃の一つにシビル攻撃がある.シビル攻撃では,1 台の攻撃車両が複数の偽車両を生成し,周囲の正常車両に実際には存在しない車両を存在するように認識させる.これによって,正常車両は渋滞や危険状況を誤認し,走行判断を誤る可能性がある.そのため,偽車両の検知は重要な課題である.本研究では,複数のサイズのタイムウィンドウを用いたシビル攻撃検知手法を提案する.提案手法では,異なるサイズのタイムウィンドウから得られる特徴量と,保持している CAM 全体から算出した特徴量を組み合わせることで,短期的な挙動変化と全体的な挙動傾向を考慮した分類を行う.

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